戦国無双頂き物
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−彼が来るのは、決まって夜。
…それも、彼がフラれた夜に。
『ヤろうぜ』
そう言う彼に、私は
『うん』
そう応える。…お決まりの、パターン。
…だから、突然訪ねてきた今夜も、当然そうなんだと思ってた。
…メールが届いてから15分。チャイムが彼の来訪を知らせる。
ドアを開けると、そこにはなぜか両手に袋を下げた、孫市。
「…よう。…DVD、見ようと思ってさ。…こっちは食い物」
そう言って左右の袋を軽く持ち上げて見せる。
「…え…?」
いつもと違う孫市に、少なからず驚いた。
普段来る時はいつも手ぶらで、しかも部屋に入るなりなだれ込んでいたから。
二人が掛けるにはやや狭いソファに腰掛ける。
腰同士が密着し、何故だか私は身体を重ねる時にはないドキドキを感じていた。
片手に缶ビール、画面には、くるくる笑うオードリー。チーズをつまみながら見た映画は、もう何度も見たことがあったはずなのに、なんだか新鮮だった。
−そして、同じベッドに入った。
孫市はおやすみ、と言って私の頭を撫でると、そのまま瞳を閉じてしまった。
…彼がこの部屋に来て何もしなかった夜は、初めてだった。
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