戦国無双頂き物
宵い時。3
…でも、ここに来る度に孫市様は私に声をかけてくれた。
−あの、素敵な声で…。
…多分、一目惚れだったんだと思う。
…孫市様の言葉は…口説き文句だって…頭ではわかっていたけど…
…それでも、嬉しくて仕方なかった。
…そんなこと、きっと孫市様にはお見通しだったんだろうな、と思う。
「−そうか…名無しには家族がいないのか…」
…今まであまり語ることのなかった、自分の生い立ち。
孫市様は、静かに耳を傾けてくれていた。
「…でも、旦那様に拾っていただいてからは、ここが私の家みたいなものだし…毎日忙しいから、寂しいとかは全然…」
「でも、ここしか、知らないだろ…?」
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