戦国拍手ログ 2005年12月 縁側で饅頭を頬張る名無しさんを見て、孫市は思わず笑みを浮かべた。 「…旨いか?それ」 「…っ!?ま、孫市様」 急に声を掛けられたせいか、彼女は口の中の物を慌てて飲み込み、咳き込んだりしている。 「おいおい、大丈夫か?…で、俺の分はあるのかな?」 苦笑して名無しさんの背中を叩きながら、孫市が彼女に問うた。 「ゴホッ…えっ…あの…な、ないです…」 「そりゃ残念だな」 「すみません…」 しゅん、となった名無しさんの隣に孫市は腰掛ける。 ふと、彼女の顔を見て笑いそうになった。咳き込んで顔を伏せていた時には分からなかったもの。可愛い口元に、餡子がほんの少し着いている。 「…なんだ、あるじゃないか、俺の分」 孫市はそっと、名無しさんの顎に手を掛けた。 ――餡より甘い口付け一つ。林檎のような頬っぺた二つ [次へ#] |