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KYO捧げ物
哀しみが癒えるまで3

ゆやが意識を取り戻したのは、明るい林から差し込む光の中だった。起き上がろうとして、みぞおちに痛みを感じる。

「…っ!」

痛みに耐え起き上がると、店での出来事を思い出した。攫われた、そう思ったとき、傍でかさり、と落ち葉の音がした。

「起きたの」

はっ、とそちらを見れば、あの男と一緒にいた子供だ。先程は大きな羽織と帽子で分からなかったが、不思議な色の瞳を持つ少年だった。深い緑の色合いが、太陽の光に当たり温かい輝きを見せる。

「私をどうするの?」

そう彼に尋ねると、背後から返事が返ってきた。

「言ったでしょう、一番いい場面を用意してある、と」

振り向けば、少年と共にいた男が立っていた。ゆやは痛む身体でどうにか立ち上がり、相手を見る。

「どういうこと?」

睨み付けると、男が楽しそうに嗤った。

「本当は私の手でそれを用意してあげたかったんですけどね。生憎、私はその力を狂に奪われてしまってるんです」

そう言うと、彼はゆやの背後を冷たい眼で見た。

「でも、彼女と私の間に出来た子は、素晴らしい能力を秘めていた…」

ゆやの背中に冷たい物が走る。くいっと袖を引かれ振り向けば、そこに少年が立っていた。思わずみてしまったその瞳に、ゆやは吸い込まれるように魅入る。

「…ごめんね」

そう一言漏らされた言葉と、瞳の奥底に沈んだ哀しい色を見て、ゆやは意識を手放した。



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あきゅろす。
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