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2008年大晦日
「…ねぇ」
ごそ、っと動いた香を、撩が宥めるように見た。
「狭いんだから動くなって…見つかるだろ」
撩に言われ思わず香はゴメン、と口にするが、何故自分が謝らなければならないのかとはたと気付く。
今、二人は屋根裏の、撩が夜ばい用にひそかに用意していた(しかし香に瞬時に発見されていた)通路に、腹ばいのような格好で横たわっていた。何せ撩一人が通れればいいだけの通路だし、作りもまるで通風孔のような物なので、立ち上がる事もできない。狭いために二人は抱き合うような形になっていた。
「ねぇ。な・ん・で、あたしがアンタと一緒にこんな所に隠れなきゃいけないわけ?」
「しぃ〜、声が大きい!」
下の気配を注意深く探っていた撩が、香を嗜める。思わず口に手を当てる香は、素直といえば素直なのだろう。ヒソヒソと小声で話し始めた。
「奴らに見つかるだろ?そしたら無事に年を越せないぞ」
「それはアンタだけじゃない!あたしは関係ないっ」
「何を言うか香君!君が見つかり俺が見つからなければ、君が困るだけだぞ?」
「なんであたしが困るのよ。アンタがこのまま出て行ってカタをつければいいだけの話でしょ」
「俺だけが犠牲になればいいと言うのかね!?」
「言うんです!」
バタバタと暴れる香を押さえ込む撩だったが、いかんせん狭い通路だ。抱き合うような密着した状態で香が動けば、意図しておらずとも撩の大事な所を刺激する。
「…ちょっと。撩」
じと〜っ、という目つきで睨み付ける香に、なはははは、と撩が笑いを返した。
「も〜カオリンたら。こんな所でもっこりしたいなら早く言ってよぉ」
器用に体をくねらせて、香の足の間に股間のモノを滑り込ませる。
「ス・キ・モ・ノなんだからぁ」
相好を崩しツンツン、と香の頬を突く撩に、ついに香がキレた。
「誰がスキモノじゃ、己は年を越す前に禊して煩悩を落としてこい、このケダモノめっ!!」
「ひ…ひっぃぃぃぃっ!!!!」
哀れな闇の世界のbPは、パートナーのハンマーに盛大に突かれ、そのまま下で待ち構えていたキャバクラやおかまバーのママ達に連行されていった。
「香の裏切り者〜っ!帰ったら覚えてろよっっ!」
「誰が裏切り者じゃ。ツケを溜めた撩の自業自得でしょっ。さて、散らかっちゃったし大掃除しなきゃね」
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