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CITY HUNTER
4
香の言葉などどこ吹く風で、撩は放っておけばいつまでもうるさい口をとりあえず自分のそれで塞いだ。噛みつくような深いキスに香は翻弄される。そんな彼女を見て、夜目の利く撩はさらに追い打ちをかけるよう、舌を絡ませ吸い上げて、唇を食んだ。久しぶりの柔らかい感触に溺れそうになりながらなんとか踏みとどまり、香の身体から力が抜けるのを確認すると、徐にパジャマの裾から手をゆっくり差し入れる。そして柔らかな膨らみに到達すると、その感触に撩は身体が熱くなるのを感じた。

「…ふぅん、こんな下着買ってたんだぁ」

撩のその言葉で、香はそれまで快感に流されていた意識を取り戻した。はっとして自分の姿を見れば、やっと暗闇に慣れてきた視界に、パジャマを裾から上へとたくし上げられ、香のお気に入りのブラが晒されている場面が飛び込んできた。

「彼女に聞いたんだよ、お前が可愛らしい下着持ってるってな」

「なっ!?」

「『香さん、本当に似合っててステキだなぁって思ったんです』って言ってたけど、俺、最近はシンプルなのしか見てないから、なんのことかと思っちゃったぜ」

彼女の口ぶりを真似つつ、今日のデートはそのためだったんだぁ、てか…ふぅん、俺に隠してたんだ〜、といつものようにおどけた調子で撩は言っているが、その瞳がギラリと光るのを感じ、香は天を仰いだ。あぁ、終わった。この下着ともお別れだわ。

「隠し事してたカオリンにはじっくりお仕置きするとして、どっちにする?」

「ど、どっちって?」

「彼女から日付変わったら依頼終了だからってお墨付きもらったし、依頼終わったらお触りオッケーなんだろ?だから、俺の部屋行く?ここでする?」

撩がまるで当たり前のように放った言葉に、香は危うく卒倒しそうになった。

…今日のデートってどんなだったのかしら…てか、デートでなんちゅう話をしてるのよ…。

香は隣でむにゃむにゃすやすやと可愛く寝息を立てている依頼人…もう依頼人ではないのか…を見て、大きなため息を吐いた。そう言えば、彼女は撩に惚れたという感じではなかったなぁ、と今更ながらに気が付いて、香は遠い目をする。だからデート帰りなのに、そんな雰囲気も見せず、陽気に(まるで酔っ払いのサラリーマンみたいだった)撩と肩など組んで帰ってきたのか。香は軽い目眩を覚えて目を閉じた。

香の意識が隣の彼女に移ったのを感じ、撩は面白くないと言いたげに鼻を鳴らした。だが、すぐにニヤリ、と笑いながら香に告げる。

「返事がないみたいだし、ここでするぞ。まぁ、俺は別にここでも構わないんだけどな」

サラリと恐ろしいことを宣われ、さわさわと不埒な動きを見せる彼の手に、香には選択肢がないと悟った。依頼が終わっても一つ屋根の下で元・依頼人がいるから何もしない、なんて今この場で言ってしまったら、依頼人である(いや、あった)彼女を見送った後、数日は使い物にならない状態にされるかもしれない。いや、絶対にされる。
香はそっと諦めの溜息を吐くと、撩の首に両腕を回し、上目遣いで撩を見た。

「撩の部屋がいい。あと、下着は盗らないで」

「なんのこと〜?ちょっと何言ってんのか撩ちゃん、分かんない〜」

「とぼけるな!あんたがどんどん見境なく盗っていくおかげで、替えの下着がなくなりそうなこともあったんだぞっ」

香の言葉に撩はピタリ、と動きを止めると、ふむ、と考え、そして手を打った。

「んじゃ、その分俺が補填しといてやるよ」

「えっ」

「撩ちゃん好みの下着、いっぱい着ようね、カオリン」

「ちょ、ちが、あたしが言いたいのは!」

「しぃぃ。も〜、香ちゃんたら、声が大きい。しょーがねぇなぁ」

言うが早いか、撩は香の腕を引っ張り彼女の身体を起き上がらせると、俗にいう『お姫様抱っこ』で抱き上げる。そしてスキップでもする勢いで香の部屋兼客間を出ると、いそいそと自分の部屋へと消えて行った。

――その夜、香はさんざん撩に啼かされまくったあげく、お気に入りはしっかりとコレクションに収められ、後日、大量の撩好みの下着を押し付けられて頭を抱えるのであった。

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