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CITY HUNTER
3
そして依頼最後の夜。明日の朝、依頼人はこのアパートを出る。あの日からどうも撩が香のことを探っているようだったが、今日は例によって最後だからと依頼人とデートに出ていた。最近は少なくなっていたが、今回の依頼人と撩は、なんとなく馬が合うらしい。少しばかり胸にチクリと棘が刺さるが、香はそれには気付かなかった振りをする。どうせ夕飯は外で食べてくるだろう。香はそう踏んで、さっさと入浴を済ませ、あの下着を身に着けた。それだけで、沈みがちな気分が少し上昇する。そしてリビングで二人の帰りを待った。香の予想通り二人は夕飯をすませ、アルコールも入っているようだ。陽気に戻ってきた二人の様子に香は苦笑すると、依頼人を先に風呂へ入らせ、最後に撩も風呂場へ押し込んだ。

「なになに、カオリンも一緒に入ってくれるのぉ?」

「酒くっさ!臭い!さっさと一人で入って寝なさい!言っとくけど最後だと思って夜這いしたら殺すわよ」

「ちぇっ、カオリンのケチ」

「誰がケチだ、誰が。ほら、さっさと入って、明日はお見送りだからね」

それだけ告げると、香は撩に、おやすみ、と手をひらひら振って、今回の依頼の最期のお勤めだと、客間へ入りトラップをチェックして眠りについた。

…なんだろう、この圧迫感…すっごい重い…もしかして、かか、金縛りっ!?

香は真夜中に目を覚ました。体に何か大きくて重いものが覆いかぶさり、身動きが取れない。思いっきり叫び声を上げようと息を吸い込んだら、大きな手が香の口をふさいだ。

「香、しぃーっ」

「んんっ」

耳元で聞こえた声は、この部屋にいるはずない男の声。香は驚いて目を見開くが、部屋は真っ暗で相手の顔は見えない。

「大きな声出したら気付かれるだろ」

ひそひそと耳元で囁かれ、くすぐったさに少し身を捩るが、それ以上動かすことができずに仕方なく撩の顔がある方向を睨んだ。撩がひそひそと、小声で話すなら手をどける、と言うので、香はコクコクと首を縦に振った。

「…ぷはぁ!っていうか!あんた、トラップは!?」

「あぁ、けっこう苦労したぜぇ。おかげで思ってたより随分時間かかっちまったし。香ちゃん、また腕上げた?このままだと撩ちゃん、本気出してもそのうち全く歯が立たなくなりそ。さっすが海ちゃんの弟子にして俺のパートナーだな〜」

どこか楽しげにそう告げられるが、そして口ではそんなことを言っているが、撩が本気を出せばそんなもんなのだろう…いやいやいや、ちょっと待って。なんで今、本気なんて出しんの?しかもあたしに対して。

「…なにしにきたの」

「何って、ナニしに」

「…はぁぁぁ!?あんた何考えてんのよっ、隣で彼女が寝てるのよっ!それに依頼中はこういうの絶対やめてって言ったでしょっ」

香は額に青筋を立てる勢いで抗議したが、撩は意に介さない。しぃー、っと思わず声を荒げた香の唇に人差し指を当ててくる。

「おまぁ、小声でって言っただろ…大丈夫、ダイジョウブ」

「っっっ!大丈夫じゃないっ、少なくともあたしはイ・ヤ・よっ」

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あきゅろす。
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