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CITY HUNTER
6
その夜、撩は香が回収してきた動画を確認した。そして、そこから犯人に繋がるものを特定した。結論から言えば、夏希を苦しめていたのは、今日、会いに行ったクライアントだった。彼女に一目惚れし、その仕事ぶりに更に魅かれ、そして婚約者がいると知ってその思いを暴走させた結果だったらしい。さてどうするかね…と撩は考えたが、正直これ以上この依頼を伸ばす気はさらさらなかった。となれば。

「香〜。ちょーっと撩ちゃん、用事を思い出したから今から出掛けてくるぜ〜」

「え?今から?どこ行くの?まさか依頼中にツケ増やしに行くんじゃないでしょうねぇ」

ゴゴゴッ…と背後に炎を見せハンマーを召喚しようとする香に、撩は慌てて首と手を振る。

「ち、違うっ!違うからっ!仕事!依頼絡みの用事!」

「ならあたしも一緒に行くわよ?」

「いや、お前は夏希君とここにいてくれ。万が一があったら困るからな」

「…なんか、怪しい」

じとり、と睨み付けてくる香から目を反らした撩は、ガリガリと頭を掻く。

「とりあえず、ストーカー野郎が分かったからさ。話、つけてくる」

「分かったの?」

「あぁ、ただもう夜だから彼女を出歩かせるのは得策とも言えないし、そうなったら彼女の傍には香がいる方がいいだろ?」

「いや、でもそれなら明日にすればいいんじゃないの?」

「今日、俺と二人で行動していたのは相手も知ってるから、何らかの手を打つなら今夜だろう。だったら先回りして、ちょっくら撩ちゃんが話つけてこようかなって」

ということで、彼女のこと頼むな〜、と呑気に言いながらそのまま玄関から出て行った撩に、香はむぅ、と口を尖らせたが、撩の言う事にも一理ある気がしたので、そのままアパートのセキュリティをチェックし、リビングへと戻った。

そして数時間後。日付が変わる少し前に帰ってきた撩によって、無事にストーカーを警察に引き渡してきたと伝えられた。安堵した夏希の瞳には涙が浮かび、香がその肩を抱く。その姿を見て、撩は微笑んだ。香の優しさは相手が誰であろうと、その存在が傷付いていれば何も聞かずに全てを包み込もうとする。そしてその温かさに包まれた者がどれほど癒されるかは、撩が一番知っていた。きっと、夏希ももう大丈夫だろう。

「さぁ、お二人さん。今夜はパーッとお祝いなんてどうだ?」

「あら、良いわね!じゃああたし、なんかおつまみ作るわ」

「それなら私も手伝います」

「じゃあ、グラスとかは俺が用意するか」

ワイワイとキッチンへ向かう二人の後ろ姿を眺め、そして時計を見た撩は独り言ちる。

「日付…変わっちまったな」

その夜は、3人の賑やかな声を響かせながら更けていった。

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