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CITY HUNTER
4
翌日の朝、香は目を覚まし夏希の安らかな寝顔に笑みを浮かべると、手早く着替えてキッチンへと向かった。昨夜、撩は結局夜這いにはこなかったようだ。廊下や部屋に仕掛けてあったトラップは一つも作動していなかったし、香も2日振りの熟睡に清々しい気分で冷蔵庫を開け、食材を取り出したところで、背後のドアが開く音に振り返った。

「えっ、どうしたの?」

そこで見たものは、うっすらと目の下にクマを作っていた相棒の姿。どこかご機嫌斜めのようだが、香には単なる寝不足なのだろうとしか思えない。

「…はよ」

「あ、おはよう。ねぇ、随分早くない?夏希さんが仕事のクライアントの人と会うのって、お昼過ぎでしょ?それまではこの家にあたしも一緒にいるし、もうちょっと寝ててもいいのに」

「…」

撩は無言で香の顔を見ると、そのままリビングへと移動して、ソファーに寝ころぶとそのままそこで寝始めてしまった。

「ちょっと、撩!いくらあったかくなってきたからって、まだ朝は寒いんだから風邪引くわよ!」

香は撩にそう言うが、彼は起きる気配もなく、そのままそこから動く気配もない。香は溜息を零すと、しかたないなぁ、と言いながら毛布を持ってきて撩をそれで包む。ふ、と彼が笑った気がして、香も笑みを浮かべると、

「ったく…朝ご飯までには起きなさいよ」

と優しく撩の髪を撫で、キッチンへと戻っていた。

そしてその朝食時。二人は夏希を挟んで、1日のスケジュールについて、確認し直していた。

「…じゃあ、お昼はここで食べて、その後は撩と二人で、夏希さんの仕事先へってことね」

「あぁ、香はとりあえず伝言板の確認と、彼女の家の盗撮・盗聴器チェックを頼む。それはミックに付き添い頼んだから」

「うん、分かった。でも、それって解決する直前か直後でいいんじゃないの?」

「盗聴器だけならな。盗撮については画像を録画したものが手に入れば証拠とか手掛かりになるからな」

「でも、ミックにわざわざ頼まなくても…」

「ストーカー野郎と鉢合わせしたら困るだろ。一応、カオリンも女の子だしぃ」

「一応は余計だ!」

本当のところ、時間的に問題なければミックになど頼まなくてもよかったのだが、時間がなかったので背に腹は代えられず、渋々ミックに頼んだのだ。ついでに香の誕生日に家に絶対来ないことを約束させて、ミックに香を託した。なんだかんだ言いながらもミックはかずえに惚れているし、香の嫌がることは絶対にしない。そこだけは撩も彼を信用している。
そう思っていても撩はやはり苛立ちを感じ、溜息を隠す様にトーストに齧りついた。

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あきゅろす。
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