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CITY HUNTER
2
翌日から、依頼人である夏希がアパートへとやってきた。依頼の内容はストーカーの撃退という、シティーハンターにとっては比較的楽な仕事だと言ってもいい。昨日は婚約者と実家にいたために何もなかったのだが、今日から数日間、恋人はどうしても外せない出張で海外、そして実家も常に人がいるわけではないために、二人にストーカーの撃退を依頼してきたということだった。

「わぉ、ほんとにもっこりちゃんだぁ。彼氏がいるなんてもったいないなぁ。俺にしとかない?」

夏希に会った途端にそんなことを言って彼女にすり寄る撩を、ミニハンマーで撃退しながら、香が彼女を見る。

「ご、ごめんなさいねぇ、これでもスイーパーとしての能力は世界一よ。貴女の身の安全は色んな意味であたしが保証します」

「は、はぁ」

二人に圧倒されながらも、ほんの少しだけ笑みを浮かべた夏希に、香も微笑んだ。

「夏希さん、やっと笑った」

「え?」

「だって、昨日お話聞いた時も、ずっと暗い顔だったから…でももう大丈夫よ、あたし達に全て任せて?」

はっ、と顔を上げた夏希を、撩も柔らかく見つめる。そんな二人を見て、彼女もやっと安心したように、頬を弛めて笑顔をみせ、頭を下げた。

「…あの、宜しくお願いします!」

「ふふふ、じゃあ、とりあえず部屋へ案内するわね」

香は立ち上がると夏希を案内し始めた。彼女が香に続き、撩も何気なくその後ろについて歩く。

「ここが、今日から暫く泊まってもらう客間になります。あ、普段はあたしの部屋になってて、撩の夜這い防止のために一緒に寝泊まりすることになるけど、我慢してね?」

香が後ろにいた夏希にそうにこやかに告げると、それを聞いた彼女と、なぜか撩までもが小首を傾げ

「えっ?」

と呟いた。そんな撩をじとりと睨み、香は夏希には笑みを見せた。

「一応、恋人がいる夏希さんに手を出すことはないと思うんだけど、念のためにね」

「さ、冴羽さんがですか?」

「ちょ、俺はミックじゃないぞっ」

同時に口を開いた二人に、香は溜息を吐いた。

「撩…あんた、そう言いながら美樹さんにいつもちょっかい出してるでしょうが…」

「あ、あれはただの挨拶だろうがっ!それに美女に声を掛けないのは俺の礼儀に反するっ!」

「そんなもん礼儀でもなんでもないわ!」

どかーん、とハンマーで撩を潰すと、キレイな笑顔で香は夏希に向き直る。

「ごめんなさいね、こんなヤツだけど、腕だけは本当に保証するから。だから、今夜からよろしくね」

「あっ、はい…」

二人のやり取りに目を白黒させていた夏希は、香の言葉とその迫力に、思わず頷いていた。

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あきゅろす。
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