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CITY HUNTER
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帰宅しても2、3日は安静にして様子を見る様に、と言われたためか、それからも撩は香の傍にいた。もう大丈夫なんだけど、と言っても、なんだかんだで伝言板も一緒に行くし、普段はやらないような荷物持ちの買い物にも一緒に行く。そしてキャッツへも。

「海坊主さん、美樹さん。改めまして、今回はお世話になりました」

そう言って香が手作りの菓子を差し出した。海坊主は、気にするな、とだけ言って、いつも通り皿を拭いている。美樹は微笑むと、香から菓子を受け取った。

「気なんて使わなくていいのに」

「これはあたしの気持ちだから」

「じゃあ、これは私の気持ちね。冴羽さんにもついでに淹れてあげる」

美樹はそう言うと、香にコーヒーを差し出した。

「ちぇっ、撩ちゃん、カオリンの付属品かよ」

「こんな付属品、こっちから願い下げだわ〜」

「どういう意味だよ!」

「そこらじゅうでナンパするしもっこりする、そんなのに付きまとわれるのはイヤだって言ってんの」

「ふ〜ん、そんなこと言うなら、一生付きまとってやる!」

「はいはい、お店壊したら、またツケが溜まるだけよ?」

美樹の言葉に、二人は口を閉ざし、思わず顔を見合わせる。そんな二人に美樹は吹き出した。

「…冴羽さん、随分素直になったのね」

「ちょっと美樹さん、こいつのどこが素直なの?」

「だって、“一生”付きまとうだなんて」

「質の悪い悪戯にしか聞こえないけど」

「美樹ちゃん、天然鈍感娘には何言っても仕方ないよ」

「たしかに…冴羽さん、今日は特別におかわりも奢るわ。誕生日プレゼントと、素直になった記念にね」

「サンキュー、美樹ちゃん」

「えぇ、なんか納得いかないんだけど」

「気にするな、そのうち分かるだろ」

撩と美樹と、そしてそれをニヤニヤと聞いていた海坊主、全員分かっているのに自分だけ分からないその話に、香は子供のようにぷぅ、と頬を膨らませながら、コーヒーに口を付けた。
それはいつもの穏やかな昼下がりだった。


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