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旧戦国
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穏やかに晴れた空は、まさに年初めにはうってつけの天気だった。

ここは雑賀庄。雑賀衆の一員である名無しも、この日ばかりは綺麗に身繕いし、パタパタと屋敷を動き回っていた。朝から五月蝿いのが二人纏わり付いていたが、次々とやってくる客のためにそんなことには構っていられない。

「慶次、お前なんで正月早々からココにいんだよ」

「なんでって、新年の挨拶と祝いのためだろ、なぁ名無し?」

「俺の前で雑賀衆の人間に手ぇ出すとはいい度胸だな。大体、織田方から新年の挨拶を受ける謂れはない」

「手なんか出してないさ。それに織田の殿様とも関係ない。孫市、アンタ新年早々からつれないねぇ。なぁ名無し、こんな頭領放って向こうで祝い酒でもどうだい?」

「それが手を出してるってんだよっ!慶次、アンタは叔父さんとやらに挨拶しに帰れ。名無し、こんなヤツの事は放って二人で抜け出そうぜ?」

朝からずっとこんな調子だ。名無しは言い争う二人に溜息を吐き、今日何度目かの台詞を口にした。

「若、ご挨拶にこられた諸大名の使者の方達がお待ちです。早く客間に顔出しして下さい。慶次様も、あちらの部屋で皆様のおもてなし準備が整ってます。顔見知りの方もいらっしゃるでしょうし、お酒もご用意してますよ?」

とにかく私は忙しいんです、と告げると、名無しは足早に行ってしまった。

「行っちまったねぇ」

「お前のせいだぞ、慶次」

「なんでだよ。しかし、名無しはああいう着物着ると妙に艶っぽいねぇ」

「名無しには手を出すなよ」

「名無しの方から来たら文句はないんだな?」

「俺がいるんだ、それは絶対ない」

「言い切るねぇ。ま、向こうで飲もうや」

「だからお前は帰れっつってんだろ!!なんでココにいんだよっ!」

朝からギャーギャーと元気な二人である。


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あきゅろす。
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