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旧戦国
1

強い日差しの生む熱気が少し和らいだ昼下がり。

「少し休憩しましょうか」

書簡に目を通していた光秀は、顔を上げて誰ともなくそう言った。

…そういえば…名無しは何処に行ったのでしょうか。

ふと、いつも傍にいる名無しの姿が見えないことが気にかかり、名を呼んでみる。

「…名無し?いないのですか?」

少し待ってみたが返事は返ってこない。

「自分の部屋にでも戻ったようですね…」

戦のない時は用もないのに光秀の部屋にきて、よく二人で話し込んだりしていたが…流石に忙しい自分を見て遠慮したのか。光秀は名無しの、くるくると良く表情の変わる顔を思い出し、微笑を浮かべた。

…たしか、名無しの好きな菓子があったはずだ。休憩がてら名無しとの話を楽しむのも良い。

光秀は菓子を目の前にした名無しの顔を思い浮かべながら立ち上がると部屋を出た。


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