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旧戦国
1

「なぁ、名無し」

「……」

彼が呼んでいるけれど。名無しは振り向かない。

「こっちを向いてくれないか?」

「…」

いつもならすぐ振り向いちゃうのに、どうしたのか。

あぁ、あれだ。そんな気分じゃないんだ、きっと。

「名無し…その綺麗な瞳に映る空が羨ましい…お願いだからこっちを向いてくれ。その瞳に俺と言う一人の男を映してはくれないか?」

くさいセリフでも躊躇わず口にできる辺り、さすがは孫市。でも、そんな言葉ではもう惑わされないから。

「…私の目は空を見ているの。誰かの瞳に映りたいなら、他のもっとキレイな人の所に行けばいい」

そうだ。孫市ならそんな人たくさんいるじゃない。だから何も私でなくたっていい。

「生憎、他の誰かではダメなんでね。…どうしてもこっちを向いてはくれないのか?」

「…空を見ていれば、いらないものは見なくていいから」

「…そんな冷たいこと言わないでくれ…頼む、名無し…俺を君の柔らかな視線で包んで欲しいんだ…」

「…」

う〜ん。なんか、ちょっと泣き入ってきたかな?でもダメダメ。今日はそんな気分じゃない。孫市のワガママに付き合うより、私は青い空を見ていたいのだ。

「…どうしても、こっちを見てくれないか…なら、仕方ない。強行手段だ」

その時、周囲の空気が揺れた。温かい物が腰の辺りに巻き付いてくる。

「…えっ!?ちょ、ちょっと孫市!!?」


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あきゅろす。
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