旧戦国 風の心 どんなものにも、始まりがあればいつか終わりがくる。 それは朝と夜のように。光と影のように。生と死のように。 有として存在し、そして無に還るように。 伝える為の身体はもうない。 熱を教える器は、もうない。 いつか、いつかこの想いも朽ち果てるのだろう。 始まりの境界線さえ曖昧なこの感情にも、終わりはくるのだろう。 それでも。 溢れ出るこの想いは、未だ尽きることはない。 先に朽ちてしまった器を満たしていたそれは、 もう形を成さない己の存在を、はっきりと形作る。 ならば。 風よ。 せめてこの想いを、その背に乗せてはくれないか。 少しでいい、この感情を、伝えてはくれないか。 この真摯な瞳の傾奇者の、真っ直ぐな心に。 愛していたと、愛していると。 またいつか、始めるために、生きてほしいと。 [*前へ] |