旧戦国
3
「…慶次様、あれで最後の一個です」
とうとう最後の一箱になり、名無しが慶次にそう言った。
「おぉ、そうかい」
名無しに言われ、慶次もその箱の前に移動する。しかし…
「…よっ…んっ…」
今まで通りだと僅かに指先が届かないのだ。仕方なく名無しは身を乗り出すようにして箱を手繰り寄せ、箱を手の中に納めた。その時。
「名無し、アンタ、意外と胸があるんだなぁ」
慶次から発せられた一言に、名無しは仰天して彼を見た。なんと、身を乗り出した拍子に慶次の顔がちょうど彼女の胸に埋まってしまっていたのだ。
「ひゃぁっっっ!!!」
あまりの光景に名無しは真っ赤になって身体を仰け反らせる。
「…って、オイ!!危ないっ!!」
「きゃぁっ!?」
腕の中の名無しが急に暴れたため慶次はバランスを崩し、二人は派手な音をたてて倒れてしまった。
…あれ、痛くない…?
名無しは自分が暖かいものに包まれている事に気づく。慶次が彼女を庇って下敷きになってくれたのだとすぐに分かり慌てて身を起こすと、ニヤニヤ笑う慶次と出会った。
「大丈夫かい?しかし、名無しに押し倒されるとは思わなかったねぇ」
「けっ、慶次様!!」
耳まで赤く染め、名無しは慶次に抗議の声を上げた。彼はカラカラと笑って立ち上がる。
「さて、手伝いの奴らきたようだな。邪魔者は退散するか。あぁ、そういえば奥に梯子があったようだぜ」
「えっ!?」
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