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旧戦国
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豪華絢爛と言われた城も。

自ら魔王と称した男の野望も。

…燃え尽きればみんな同じね。

目前に広がるのは焼け落ちた、つい最近まで城のあった場所だ。材は全て炭になり、数日前の姿を想像する事はできない。

そこにはかつて『安土城』と呼ばれた城があった。日本のみならず、西洋の者にまで称賛された、魔王・信長の居城。しかしその雄大な城も主によって火を放たれ、今は無惨な姿を晒していた。炎は主をも飲み込み、その骨すらも焼き尽くした。僅かに残った鎧や刀も変形し、見る影もない。

――どこにいるの?早く出てきなさいよ…――

瓦礫となった安土城跡を、名無しはゆっくり歩いていた。彼女は何をするでもなく、ただ一人、黙って歩いていた。

不意に、あの人の声が聞こえ、振り返る。だがそこには彼でなく、青い空があった。穏やかな空は彼の笑顔に良く似ている。二人の時だけ見せてくれた、包み込むような笑顔。私だけの孫市。思い出すと、少し切なくなるのは何故だろう…。

孫市に最後に抱かれたのは、彼がここにくる数日前だった。


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あきゅろす。
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