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間違っている












「やってきました、カラオケ大会!」

「イエーイ」

「・・・・・」

「え、何ナノこれ。ってかどっからもってきた」




訳も分からず始まった企画にラムダは眉間にシワを寄せると、目の前に居た【名前】が笑顔で「ふふふん」と笑っていた。




「ロケット団ならこれぐらい当然ですよ」

「お前も暇だな」

「【名前】」

「はい、何ですかアポロさん」




【名前】はワクワクと言いたそうな笑顔でアポロに振り向く。
話を無視されたラムダは不機嫌そうな顔をしていたが、隣に座っていたアテナが「気にちゃ駄目よ」と宥めていた。




「これは、どう使うのですか」




マイクを持ち、真顔で言うアポロに【名前】は度肝を抜かれた。今時カラオケも知らない大人が居るとは、驚きだ。
【名前】はマイクのスイッチをオンにし、そのまま声をマイクの頭に「あー」と言った。




「こうやって、声が大きくなるんで曲に合わせて歌えばいいんですよ」

「・・・なるほど」

「すみません」

「はい、なんですかランスさん」




今度はランスが何か唸るような声で【名前】に問いかける。
チラリと身体を後ろに向ければ、そこに映る彼の姿に思わず仰天してしまった。




「これは、どう使うのですか」

「すみません、あのランスさん。今言いましたよね?言いましたよね?」

「大事な事だから二回言っとけ、【名前】」

「そうですね、じゃぁラムダさん。ランスさんのマイク取り上げてください」




マイクを今にも壊しそうな勢いで頭の部分と棒の部分を引っ張っている彼に、流石のラムダも止めに入った。
いやそもそもまずマイクを知らない時点でおかしいだろう。
カラオケならまだしも、マイクだよ?

【名前】は溜息を吐いて肩を落し、「ようするに・・・」と言葉を続けた。





「このマイクは、ラジオ塔乗っ取り計画で行うマイクと同じだと思えばいいんですよ」

「ああ、」

「なるほど」




どこで分かるのか、と【名前】はツッコミを入れたかったが彼等には意味が無いだろう。
おまけに先程理解した筈のアポロまで再び頷いていた。しかもさっきより凄く納得した表情で。なんなんだコイツ等は。

するとアポロとランスはいきなり表情を改めると、マイクを握り締めてスイッチを入れた。




「さて、ではさっそくしましょう。そのカラオケとやらを」

「おっ、早速歌ってくれますか!しかもデュエットとはまたこれはレアな・・・」

「さ、なんでも構いませんよ。いつでもきなさい」




少しランス様はノリが違うような気がしたが、私は気にせずに曲を適当に選択した。
絶対に誰もが知っているこの名曲なら、いくら彼等でも歌えるだろう。二人だし。

【名前】はリモコンで曲を転送すると、さっそく画面には曲の題名とともに出だしのメロディーが大きな音で流れ出た。
『めざせポケモンマ●ター』これならいくらなんでも彼等でも歌えるはずだ。

そして最初の歌詞が画面に映し出されると、何故か彼等は目を閉じて息をすうっと吸いこんだ。







『私達われわれロケット団はついにこのラジオ塔を乗っ取りました、さぁ観念しなさい』

『サカキ様、やりましたよ。ついにこの瞬間がやってきました』

『さぁ、我々と一緒にロケット団の復活を・・・!サカキ様――』

『サカキ様・・!』

「ストーーープ!!」





ズコーとその場に居た二人以外の全員が盛大にコケた。
え、ちょっとまって、なんでこの二人は歌を歌わずに復活宣言の練習してんの。なんで歌わん。なんで。
未だにお馴染みのメロディーが室内に響き渡る中、等の本人達は「なんですか」と綺麗にハモってこちらを振り返った。





「なんで歌わないんですか!!」

「貴方が言ったんでしょう、マイクは――」

「いやそれは『マイク』の使い方!!スイッチ押すと機能してスイッチ切ると停止する奴!!」

「は?、ではもしや今我々の言った言葉は全国放送されていないのですか」

「されてませんよ!!何ちょっと「ビックリ」みたいな顔してるんですか!!」

「なんと言う事でしょうか・・・・ではもう一度やり直さなければ」

「いや言ってる意味分かりますか?画面に歌詞で出ますよね?目閉じて復活宣言してちゃ歌なんて歌えませんよ!」

「じゃぁ全国放送はもしや・・・・」

「はっ・・・!」

「いや「はっ」じゃないですよ!何ちょっと今知った真実みたいな。だから全国放送なんてハイテク機能カラオケにありませんってば」

「これはしくじりましたね。私としたことが・・・」

「ええそうですね。しかもまだラジオ塔乗っ取ってもないのに生放送で全国に言っちゃったら駄目でしょ」

「・・・・そういえば」

「【名前】、頭良いですね。今まで馬鹿にしていてすみませんでした」

「ねえ、泣いて良い?ラムダさん良いですか」

「あーはいはい泣け泣け。ティッシュねーからトイレの紙で拭いてこいよ」

「鼻水共々お前の服で拭いてやる」





本気で引いたような顔で自分の身体を両手で抱きしめるラムダをここまで気持ち悪いと思ったことはないだろう。
【名前】は脱力して肩を落すと、アテナがマイクを拾い上げ 私の肩にポンと手を置いた。





「ま、ここは私が歌ってお手本を見せてあげるわ」

「あっ・・・アテナさん!!やっぱ頼りになりますっ」

「ふふ、どうも」

「おいアテナ、いったい何歌うんだよ」




「んー」と言いながらリモコンを操作し、画面に向けてそれをピピピと送信した。
ラムダと【名前】は同時にモニターの画面に顔を向けると、出て来た内容に度肝を抜かれた。まさか、これがくるとは。
それでもアテナなら納得できてしまう曲に二人は頷いていると、アテナが得意げな顔をしてマイクを握った。

『キャ●ツアイ』と映し出された画面に最初の歌詞が出てきた時、アテナは息を小さく吸って歌い出す。




「おー、うまいなぁアテナ」

「そうですね、でもなんか声がやけに色っぽいような気が・・・」

「ああ・・・」

「・・・」

「・・・」




徐々に色気が増す声と身体の動きに【名前】とラムダは無言で聞く事しかできながった。
そしてサビに入る頃、それはピークになり いきなり机にアテナのヒールがガッとのしかかった。
髪をかき上げ、足先から股あたりを指で撫で上げていきながら歌うアテナを誰もとめることが出来なかったのだ。







『みぃーつめぇーるっ』











******











歌い終わった後、何故か汗をかきながら爽やかな顔で微笑むアテナに 【名前】とラムダは口をポカンと開けていた。
そしてアポロとランスだけが、真剣な顔をしながら額に汗を浮かべ 少し嫌そうな顔をしながら呟く。





「か、カラオケとは・・・こう言うことをいうのですね」

「私達もああやって歌わなければならないというのですかっ・・・」

「おう、歌えるもんなら歌ってみろ」




ただラムダと【名前】はこの時少しだけ、お互いの心の中が理解できたような気がした。















間違っている















「なぁ、俺等ちょっとここから抜けるわ」

「そうですね、行きましょうラムダさん」

「もしやそれは、カラオケで言う良い雰囲気の二人が抜けてよからぬ事をするという奴ですね」

「くだらない、馬鹿じゃないんですか。貴方達」

「なんでそんな事だけ知ってるんだ、アポロ」

「とりあえずランスさんムカつく」

「気が合うな、【名前】」

「そうやってまた貴方達はイチャイチャして――――」










2010 6/13


とにかくロケット団ファンの皆様(主にアテナ様)ゴメンなさいorz(土下座
アンケートリクの「R団幹部でカラオケ」でしたが・・・こんな文になってしまいすみません・・!
でも楽しかったです^p^(←


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あきゅろす。
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