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最悪の敵













「おい、待てよ【名前】!」

「・・・・・」

「テメェ、無視してんじゃねーぞ」

「・・・・・」

「・・・・・なぁ【名前】っ、どうしたんだよ」




いつも一緒に話してた彼女とは明らかに違う、無表情の彼女を見たラムダはただひたすら声をかけるが それも全て無視。
早くこの場から逃げ去るかのように廊下を歩いて行ってしまう彼女を、ラムダは腕を掴んで何とか止めた。




「【名前】、こっちを見ろ」




ずっと視線は床でチラリとも目を合わせようとしない彼女に、ラムダのイライラは納まらなかった。

何故だ、いつから彼女はこうなってしまったんだ。
昨日までは何の変哲も無く一緒に仕事をしてお互いに楽しく会話をしていた筈なのに、なのにどうして―――


どうしてなんだ、【名前】


彼女の変化の原因、それが分からないでいたラムダは必死で考え込むが 思い当たる節がどれも無い。
たださっきいつも通り「よぉ」と笑って挨拶しただけなのに、視線を合わせる事無く無言で通り過ぎて行った彼女に驚愕してしまった。
【名前】は明るくて優しいと評判なだけあってか、今回のこの状況には流石の俺もどうしたら良いのか分からず 思わずその場に凍り付いてしまう。


すると【名前】が考え込んでいる俺の隙を狙って、腕を勢い良く払いのけるなり 再び早歩きで歩き出した。



「あ・・・!おいまて【名前】っ」

「・・・・」

「なぁ、なんでそんな態度をとるんだ?俺が何かしたのか。だったら言えよ、全部俺に言えばすむんだろ。
 ・・・・・っそうやってなんで目も会わせずに無視するんだ。ちゃんと俺の目を見て喋ろ、【名前】」



少し怒鳴りながら言えば、前で歩いていた彼女がその一言でやっと足を止める。
ラムダは ほっと息を吐いて、相変わらず無表情の彼女を見つめた。どうやら一様 人の言葉を聞く気はあるようだ。

だが安心したのもつかの間、彼女はそんな事を考えていたラムダを知ってか知らずか、ゆっくりと口を開く。










「うるさい」








ピタリと、彼女から発せられたその一言でラムダの時間が止まった。
指先から凍り付いていく感覚に ヒヤリと背中に冷たい風が吹き抜ける感じがし、それは混乱している彼に容赦なく襲い掛かる。


すると暫くして、廊下の向こう側から誰かの足音が カツカツ と響き渡り、それはゆっくりと俺の耳まで伝わってきた。
気づけば【名前】が駆け足でその音の方まで走って行き、驚いた俺は バッと顔をそちらへ向けるが そこには信じらない状況が映りこんでくる。





何故、

何故彼が此処に居る?―――――







視線の先には いつも俺と一緒に話していた彼が、【名前】を抱き寄せて 笑っていた。





















最悪の敵



















そう言えば【名前】がこうなったのは、ランスの所に行った時からじゃなかったか――――――

















2010.6/13


ラムダさんで切ない感じ。でしたが・・・
アンケート下さった方、本当にすみません(土下座
そして驚きの短さ(笑←



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