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(ど、どどどどうしよう・・・!てかその笑顔が怖いよ)




壁際に追い詰められ、わずか数センチと言う至近距離で見つめられてる私は思わず動けずに固まってしまっていた。
何故だか知らないが彼の顔が凄く楽しそうで、それでも本気だと言うのがひしひしと伝わってくるのが何だか彼の不思議な所だと思う。

そんな事を考えていたら、彼が行き成り私の耳元に息を吹きかけ 楽しそうに囁いてきた。




「どーした、おれ様に見惚れて言葉も出ねーのかよ」

「なっ・・・!?」

「ひゃひゃひゃっ!」




この人、絶対に私で遊んでやがる。
溜息をついて彼を見上げるが、その楽しそうな表情はいったい何を考えているのか分からない。

(なんなの・・・この人は・・・)

私は彼から離れようと手で押し退けるが、その手すらも掴まれ壁に押し付けられた。
彼のあまりの速さとその力強さに私は驚いて固まっていると、急に顎を掴まれ視線を合わされる。





「ほら、早く言わねーと困るのはお前だぜ?」

「いやもう困ってるんですよっ!!」

「ひゃひゃひゃっ!」

「ぐぅ・・!!」




駄目だ、何を言っても笑ってかわされてしまう。
本気でも表上は遊びで言ってるようにしか見えない彼の行動に、不覚にも少し苦手だと思ってしまう自分が憎い。

(もうどうしよう・・・)

私がもう無理だと諦めかけたその時、不意に彼の動きがピタリと止まった。
どうした事か、私の顎を掴んでいた手が離れ 少し名残惜しそうにそっと離れていく彼を、私は不思議な気持ちで見つめる。

何故 と、私が彼に尋ねようとしたその時 廊下の向こう側から誰かの足跡が聞こえ、それは私達の目の前で止まった。







「よぉ、仕事サボってると思って来てみたら―― イチャイチャタイムか?見せ付けてくれるねぇ」

「ひゃひゃひゃっ、すみませんね」






「ラムダ様」と言葉を続けた彼の言葉に、私は目が点になってしまった。
ラムダって確かこの人の上司で、しかも幹部ではないのか。凄くフレンドリーに話す彼の姿に何故だか凄く違和感を私は感じる。
初めて見る幹部のラムダをじっと観察していると、「ん?」とこちらに気づいた彼が面白そうに見てきた。





「なんだ、見ない顔だと思ったら 随分可愛いお嬢さんだな」

「ひゃひゃひゃっ、歳考えて下さいよ」

「馬鹿野郎、俺さまだってまだまだイケるっつーの」




そう言って軽く私にウィンクしてきたラムダ様は 確かに他の人よりも年上な感じがしてるな とは思う。
少々猫背ではあるがポケットに手を入れて歩く姿は様になっていて、実は結構カッコいいじゃないかと先程感じてしまった。
そんな事を考えていたら、何故か隣に居たしたっぱの彼が私の肩に手を置き そのままボソリと呟いてくる。




「じゃ、俺さまはもう行かなくちゃなんねーから。いい返事期待してるぜ」

「いや、だから・・・・」

「またな、ひゃひゃひゃっ」




まったく話を聞く様子もなく 彼はいつも道りの楽しそうな笑い方で言い、私から離れた。
ラムダの隣まで歩いていった彼の背中をぼーっと見ていたら ふと、こちらを見ていたラムダと名前の視線が合う。
バチリと合ったお互いの目に名前は少し戸惑っていると、それに気づいたラムダは楽しそうに笑うなり 手をヒラヒラと振ってきた。




「またな、お嬢ちゃん」

「口元緩んでますよ、厭らしい」

「テメーに言われたくねーんだよ。このド変態」

「ひゃひゃひゃっ!・・・・褒め言葉として受け取っときますよ」

「目がマジじゃねーかよ、怖えーなお前」





幹部とその部下とは思えない程の軽いやり取りに私は唖然としていると、ラムダ様がまたチラリとこちらを見てくる。
先程からよく目が合うと言うか、なんだかラムダ様に観察されてるような感覚に私は思わず首を捻った。
そして何拍かの後、彼は笑顔で私の方に向かい口を開く。




「何処の所属かは知んねーけど、お嬢ちゃんみたいな可愛い子がウチにも居たら良かったのになー」

「え・・・あー、いや」

「まぁランスの所はあんまオススメしねーぜ・・・つってもまだその様子じゃ知らねーか」




いや、めっちゃ知ってます。実際もう入団早々被害にあってますラムダ様。

けどそれを言う以上に、此処まで私に気にかけてくれる幹部が居たことに少し自分は驚いてしまう。
先程からニコニコと愛想のいい笑顔でこちらを見てくるラムダに、名前は「いい人だなぁ」と印象を強く持った程だ。




「じゃぁ、また何処かで会おうぜ」

「・・・あっ、はい」

「じゃぁな」




廊下の向こう側へと二人の姿が遠ざかっていくのを、名前は軽く手を振って見つめた。
思ったより優しそうな人たちで、良かったかもしれない。
まぁしたっぱの彼も変態かとは思うけど、助けてくれたのには違いないし。


名前は少しだけ安心し、そのまま早く部屋へ戻ろうと先を急いだ。
























能ある鷹は爪を隠す





















「アテナに先越されたな」

「ひゃひゃひゃっ、ボサッとしてるからですよ」

「うるせぇ、あの時はアポロの部屋にすら入れてもらえなかったんだよ。勝手に決めやがってあの野郎」



少し舌打ちをしたラムダに、隣で歩いていた彼は声を出して楽しそうに笑った。

彼女がアポロの部屋に呼ばれたときアテナがラムダを部屋に入れなかったのを、まだ根に持っているのか。
おまけに見事アテナの所に取られ、つまらなそうな表情をしているラムダの顔を見ればそれが嫌でも伝わってくるのが分かる。

すると、暫く黙って歩いていたラムダが突然深い溜息を吐き うわ言の様に小さく呟いた。




「名前ちゃんねぇ、普通に可愛いかったなアイツ」

「手出したら殺されますよ」

「お前いちいち余計な事を・・・」




ギロリと隣で歩いている彼を睨べば、いつものあの馬鹿にしたような笑い声でそれは返された。
確かにランスをあそこまで怒らせた奴だし、一筋縄ではいかない事は目に見えているのは確かだ。
だが少しずつ崩していくのも悪くは無い。寧ろゆっくりと時間をかけていくのが俺のやり方だと自分でも思っている。

そう考えれば自然と口元が釣り上がり、ラムダはわざと彼に聞こえる声で笑った。




「ランスがちょっかい出したくなる気持ち、なんかすっげぇ分かったわ」




そう言ってニヤリと笑ったラムダを、ただ静かに彼は隣で笑っていた。











「ウチにくるのも そう遠くは無いと思いますよ。ひゃひゃひゃっ・・・!」






























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更新遅いくせにこの結果・・・!!←(死刑だ貴様

そしてやっとラムダ様始動・・!!(泣)
次からアテナさんとラムダさんとしたっぱ(ひゃひゃひゃのお方)辺り中心に話を・・・!
そしてあとワタルさんと主人公の二人も・・!もう分かりますよね^p^←←

そろそろライバルも出したいとか・・・^o^



10/01/31

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あきゅろす。
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