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「頭痛ぇ・・・・」

「飲みすぎだバーカ」

「アンタが飲ませたんでしょ馬鹿」

「いて・・!」




昨日何が起きたのかまったく覚えてはいないが どうやらこの頭痛は酒の飲みすぎらしい。
ベッドで寝ている俺の前にはいつも通り会話をしている同僚の二人が居て その顔が何処か微妙な表情をしていたのは見間違いではないだろう。




「・・・なぁ」

「な、何だよ」

「昨日・・・いつのまに俺は酔い潰れてたんだ・・・?」

「あー・・、確か3時頃じゃね?」

「そんなに早くかよ」

「そうそう。ってか感謝しろよなー、俺達がわざわざ此処まで運んできてやったんだぞ」

「そりゃどーも」




そう言って軽く手を振ってやれば、同僚の彼は少しだけムッとした表情をした。
そのまま「もっと感謝しやがれ」「恩知らず」等、言いたい放題言っている彼を睨めば少しだけ声が小さくなっていくのがわかる。

寝起きの悪さは自分でも自覚しているので、少しだけアイツが不憫だと今少し思ってしまったが この際気にしないでおこう。




「てゆーか、アンタ心配してたわよ」

「は、誰が?」

「私の友達」



腕を組みながら言った彼女の台詞に、俺は首を傾げた。
コイツの友達と言う事はおそらく女同士の友達と言う事だろう。

だが何故俺様が女なんかに心配されなくちゃなんねーのか、イマイチ理解できない。

俺はそのまま布団から起き上がって、ソファーに腰を掛けながらリモコンに手を伸ばす。
テレビの電源を入れ、映し出される映像を呆然と見つめながら口を開いた。




「何でだよ?」

「何でだよって、・・・・覚えてねーのかお前?」

「あぁ」

「うっわ信じらんねー、てか奇跡だなー」

「黙れ」



ケラケラ笑いながら右隣に腰掛けた同僚の彼に、軽く殺意が芽生えたのは気のせいじゃなうだろう。
ただでさえ寝起きでイライラしてるのに、覚えて無い事を笑われるのは少々気に食わない。

すると前でこちらを見つめていた彼女がいきなり立ち上がり、そのまま俺の左隣に腰をかけてきた。
両側に挟まれるようにして座られ、俺は何も言わずにただ黙っていると 目線はそのままだが彼女は俺に言う。





「アンタが酔って、ランス様の物真似やったまま友達に絡んだんじゃないの。顔もかなり近かったし、あんた凄く楽しそうだったわよ」





彼女がそう言った瞬間、ピタリと俺の動きは止まり 驚きのあまり目を見開いてしまった。
そのまま黙り込む3人の空間にはただテレビの音だけが部屋中に響き渡り、少しの間気まずい雰囲気が漂う。

ゆっくりと右隣を向けば、「まぁ最終的に結構女子には好評だったし、良いじゃねえか」と 俺の肩に手を置いて呟く彼の姿が。
俺は訳がわからなくなって、何も言わずにただずっと固まっていると ボソリと後ろから彼女の声が聞こえた。




「結構良い雰囲気だったわよ」




グサリッと容赦の無い言葉がそのまま俺の心に突き刺さり、彼女の言葉が俺の頭の中をエンドレスする。
良い雰囲気だった・・・?何が、どうして?ってゆうかこの俺様が女と?


考えれば考えるほど信じられなくなってきて、おもわず現実逃避をしたくなる感覚に俺は襲われる。
頭を抱えて、ズキズキと痛む心を必死に静めようとしたが それも叶わなかった。




誰か・・・誰か嘘だと言ってくれ。


誰か、・・・・・誰かっ、






「嘘だと言ってくれ・・・!」

「いやマジマジ。よっ、この色男ー」

「テメェ・・!!」

「ぐえっ!」





笑う彼の首を俺は鷲掴み、そのまま彼をソファーへ俺は押し付けてやった。
何故だ、どうしても今コイツがムカついて仕方が無いのは。


だがその間も次々と頭を流れるのは「女」の単語ばかり。

いや、普通に話す分ならまだ良いのだ。
だが酒の酔った勢いで俺から女に絡みに行ったのは信じられないほど嫌だった。

女は嫌いじゃないが 興味が湧かないし、第一今の俺には別に必要ないものだし、それに変な噂が立っては面倒だ。
よって良い事なんて何もなく、勿論その分のショックは当然デカい。


だが暫く俺は痛む頭の中を動かしながら必死で考えていると、不意にある事に気付き ハッと息を呑んだ。
そのままガッシリと首を掴む手を強くし、苦しそうな顔をしている彼の顔を睨みながら問いかける。




「俺、覚えてんぞ・・・・、確かテメェが俺に酒飲ませたよな?そこだけは覚えてる」

「いや・・・ゴメッ・・・マジで謝るからっ・・・だから、し・・死ぬっ」

「死ね」



顔を青白くさせながら ふるふると震えだした彼も気にせずに俺はそのまま手の力を強めた。
すると彼女が俺の腕をつかみ、「その辺にしてあげなさいよ」と俺の顔を見ながらそう言ってくるので 仕方なく彼の首から手を離してやる。
ゲホゲホッ と必死な様子で息を吸っている彼を見て 自分でやっときながらも思わず「哀れだな」と思ってしまう。

そんな俺達を見て、彼女は「はぁ」と溜息をつきながら 渋々ソファーに身を沈めた。






「いい加減に死なさ・・・じゃなかった。いい加減にしなさいよアンタ達」

「おい、・・・お前今何か良い間違っ・・・わ、なかったか・・・?!・・ゲホッ」

「そうだ、言っていい事と悪い事があんぞ」

「って言いつつブイサインしてんもんなお前。ですよねー、やっぱりお約束ですよねー」




首元をさすりながら言った彼の一言に、俺と彼女は顔を見合わせて黙り込んだ。
なんていうか、今のはちょっと・・・・。

微妙な空気を読み取った同僚の彼は一拍の後、キョトンとした顔で問いかけてくる。





「え、俺まさか今スベってんのか?」

「まさかじゃなくて、今まさにスベってんだよ」

「ひでぇっ」

「俺様に酒を飲ました罰だ」

「ぐっ・・・」





睨んだ俺に、「もうしねぇーよ・・・」と申し訳なさそうに呟いた彼を見て 俺達は少しだけ笑ってやった。
何も言えずに ただ笑われている彼に対して、俺と一緒に笑っていた彼女が小さく呟く。




「いつまでこうして、ゆっくりしていられるのかしらね」




再びテレビを見つめながら言った彼女の言葉に、「確かにお前もあと少ししたら新入りの面倒係りになるしな」と、笑う声が聞こえる。
それを聞いた俺は 思わず分かり易いほど嫌な顔をしてしまい、足で右隣に居る彼の身体を少しだけ蹴ってやった。

・・・ったく、面倒くせーこと思い出させんなよ


すると何を思ったのか、突然彼女が溜息を吐きながら徐に口を開いた。





「この部屋も一人部屋じゃなくなるし、勝手に冷蔵庫漁るのは無理そうだわ」

「テメェ何、人の冷蔵庫勝手に開けてんだよ。初耳だぞソレ」

「だって冷蔵庫ってお前の部屋ぐらいにしかないじゃねーか。」

「わざわざ家から持ってきたんだ 当たり前だろ。・・・ってかお前もか」





どおりで冷蔵庫の中の物の減りが早いと思ったぜ、畜生。
ここ最近物がなくなっていたのは、どうやらこいつ等の仕業らしい。

俺はいろんな意味で痛む頭に手をあてていると、しみじみと言った様子で息を吐いた彼女がうわ言の様に言う。




「食事管理は殆ど食堂で済ましてるけど、やっぱりお腹すくのよねー」

「そうやってお前は太ってくのよねー」

「あっははは・・!確かにっ!」


「あんた等殺す」




一斉に笑い出した俺達を見て、「ランス様に言いつけてやるんだから・・!」っと涙目で彼女は叫ぶ。
その言葉を聞いた同僚の彼は俺の顔を見て、「もっと からかってやろうぜ」と小声で耳打ちしてくるものだから 俺も同意してそのまま頷いた。

彼は早速「ランス様ぁー」と無理やり高い声を出して俺に縋り付き、俺もそれに応えてやるために笑いを堪えてランス様の真似をする。





「私、ついつい食べちゃって太るんですが、ランス様どうしたら良いですかっ・・?」

「フフ、そんなの私には関係ありませんよ。好きなだけt「やめてー!!」

「ぶっははは!ダッセー、何顔真っ赤にさせてんだよお前っ・・・!」

「無駄に似てんのよアンタ!そんでもって私の真似は全然似てないわよ!」




キッと睨んでくる彼女に俺は「面白れー」と笑ってやると、ますます顔を赤くさせて殴ってきた。
そして隣に居る彼は未だに「あっははは・・!」と、腹を抱えながら爆笑していているので 流石にヤバイと感じた俺はその口を塞いでやる。

これ以上怒らせたら俺様の部屋が崩壊するぜ。





「あんたらなんか新入団員の前でヘマして馬鹿にされればいいのよ!」

「確かに新入りに馬鹿にされるとかよっぽどだよなー」

「アンタなんかピッタリじゃない」

「なんだと・・?!」

「おいおい俺様の部屋で喧嘩すんな、他所でやれ」

「うるせーっ、お前なんか新入りと相部屋になるくせによ!」

「そう言えばそうね、いいじゃない。お似合いよ」

「お前等出てけ」





行き成り喧嘩しだしたかと思えば今度は俺に散々言いたい放題言ってくる二人に、暫くの間イラつきが収まらなかった。
すると何を思ったのか、彼は俺の顔を見ながらニヤリと口角を吊り上げて「その相部屋の新入りってよ、」と 耳打ちしてくる。



「まさか女だったりしてな」



ボソリと呟いた同僚の彼の台詞に、俺は「げ」と苦虫を噛み潰したような顔をしてしまう。
そのまま明らかに嫌そうな顔をして黙っている俺を見て、両側に居る同僚が同時に笑った。



「冗談だ」

「くそっ、そんなの今の俺様にはいらねーんだよ」

「いや、案外アンタも可愛い後輩とか出来れば 考え方が変わるんじゃないの?」

「いーやっ、かわんねーからな!」

「何ムキになってんのよ」

「そーだぞ、お前に憧れる奴も出来るかもしんねーんだぞ?」

「いらねーよ、てか必要ねぇ」

「ひっど」




後ろであーだこーだ言っている奴等を無視して、俺はそのままソファーに倒れこんだ。

そのままクッションで顔を隠して、まだ完全に酔いが抜けていなく ズキズキと痛む頭に顔を顰めながらも そのまま無理やり目を閉じて眠りにつく事にした。



「馬鹿はお前等だけで十分だ」



クッションで見えなかったが、何故か驚いた顔をして固まっている彼らの表情が想像できた。
そのまま疲れた身体をソファーに沈め、深い溜息と共に身体の力を抜き 眠りについた。








































(俺様に憧れる奴なんて、何処にいるんだよ)






















とりあえず、もう今回の様に酔うのだけは辞めておこうと思った。


















END

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新年企画(?)でやっと全3話終わりました^p^
先輩目線でやってきましたが、やっぱりしたっぱは名前が無いので少し・・・いや大分読み辛いと思います><;

ここまで読んでくださった皆様有難うございました^^*

そしていくつか希望が出ていた内容を、ちょっと続編でもう一本書かせていただこうかと思います^^←
次も酔った先輩が登場しまs(ry



09/12/10


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あきゅろす。
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