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「それじゃぁ皆、かんぱ・・・」

「乾杯ー!」

「かんぱーい」

「かーんぱーい」


「・・・・本当にまとまりがねーなお前等」




広い空き部屋で、今日は新年会が急遽行われることになった。
驚いたことに、時刻はもうすでに夜の2時をまわっており 眠気どころか皆のテンションは最高潮に達している。

それをただ俺は部屋の隅で黙ってみていたら、いきなり同僚が酒の入ったグラスを両手に持って俺の隣まできた。





「何、一人でこんなところにいんだよ」

「うるせえ・・・・俺様は眠いんだよ」

「じゃぁ飲め」

「何故そうなんだよ」

「飲めば眠気も襲ってくるから」





「ほら」とグラスを無理やり口に押し当てられ、それを手で拒めば彼の火がついたのか いきなりその場に俺は押し倒された。
馬乗り状態でグラスを持ち、ニヤニヤとこみらを見てくる彼はおそらくすでにもう酔っているのだろう。

するとほかの傍観者共がそれに気付き、いきなり ドッ と部屋が笑いで騒がしくなる。





「ぶっははは!!見ろ・・!アイツらできてんぞ!!」

「いいぞー、もっとやれ!脱がせ脱がせ」

「今夜はどこまでやるんだー?」


「うっせーぞテメーら!!!人をホモ扱いすんじゃねー!!!」



叫んだ俺に、他の奴等はいつもならビビッて無言になる筈が 今日は酔っているせいでそれも虚しく笑われた。
ああ駄目だ、今日は奴等に何を言っても無駄だな。

そのまま顔を真っ赤にして爆笑している彼等を無視していると、未だに俺の腹に乗っかってくる同僚がグラスに口をつけようとしているのに気づく。




「・・・・なぁ」

「んぁ?」

「お前それまだ飲むのか・・・?」

「いや、お前に飲ませようと思って」

「・・・・どうやって」

「口移し」

「やめろぉおおお!!!」




本気で拒絶していると、彼はヘラヘラ笑って俺にグラスを渡してきた。
畜生、なんだ結局は飲めって事かよ。

だが口移しよりこっちの方が数倍マシだ、 俺は覚悟を決めて渡されたグラスに入っていた酒をいっきに飲み干す。
ゴクッと最後の一滴まで飲んだ俺を確認した同僚は満足したのか、そのまま手を上げて「はいはーい」と叫びだした。





「じゃ、そろそろ皆酒も酔いが回ってきた所で 毎年お楽しみの物真似大会やろうぜー!」





言った瞬間、彼の言葉を聞いたしたっぱ達は「うおおお」と叫び何故か拍手までし出した。
すると数人が立ち上がり、「じゃぁまず俺からー」とかなり酔っている同僚が名乗り出る。





「よー、お前等ちゃんと仕事しってっかー?」

「誰だよ」

「え、ラムダ様の物真似のつもりなんだが」

「それじゃ、ただの猫背な人じゃねーかよ」


「はいはーい、じゃぁ次俺、俺!!」




ぐだぐだ話し出した彼等を気にする様子も無く、次々と挑戦者が自ら名乗り出る。

今度は姿勢をきちっと正して顎に手を添えた仕草に 皆「まさか」と口を揃えた。





「我々はサカキ様のためのロケット団です」

「おおアポロ様っぽい」

「だろだろ・・!?」

「うん、まぁ合格だなー」

「よっしゃ」

「なあなあ、次はアレやろうぜ!アレ!」




ワイワイとテンションの上がった彼等に、更にあれやこれやと皆が言い出す。
するとその中で、一致したのが「例のあの物真似」だった。

そしてそれを理解した奴が次々と ハッ と息を呑み、おもわず笑える口元を必死に押さえて口々に言う。




「まさか・・・、あの黒歴史の・・・!」

「それを言うな、本人もまんざらじゃないんだから」

「私はロケット団でもっとも―――」

「あー、おいお前フライングすんなよ!」



ゲラゲラと笑い、ふざけあっている男性陣に比べ それを見ていた女性陣の雰囲気は少しだけ殺気立っていた。
そのままバンッと机を軽く叩き、立ち上がった彼女達は我が幹部を愛す故か ムキきなったかのような怒り様で彼等を睨む。



「・・・ちょっと、あんた達!!ぜんっぜん似てないわよ!」

「そうよ!ランス様はもっとキメてるわ!!」


「それもどうかと思うぜ」



女子達が異常な程くらいついてくる中、男共はそれでも酔っているせいかゲラゲラとその場で笑い転げだす。
「冷酷万歳」や「あれ絶対自称だよな」等、言いたい放題言っている彼等に微かに本気で殺気を飛ばしているのは気のせいじゃないだろう。

すると何故か、いきなり俺の肩に同僚が手をついて囁いてきた。





「なぁ、お前いつもランス様と一緒にいるんだからよ。物真似やってみろって!」

「無理無理、そいつそう言うのはしねータイプだしよ」





駄目元で言った同僚に、他の者達が溜息を吐きながら首を横に振る。
そいつ等の言う通り、普段の俺なら断固拒否していただろう。

だが何故か、俺はその言葉が頭の中でぐるぐると駆け回り やがて気分が少し良くなってくる感じがした。
先程の酒がそれほど効いたのか知らないが、俺は無言でスッと立ち上がり ボーと頭の中でただ我が上司の顔を思い浮かべてみる。




「・・・・良いぜ、やってやるよ」

「マジかー・・・・ってえええ?!」

「めずらしーな、お前がノルなんてよ」

「じゃぁ早速やってくれよ!ランス様の物真似」




笑ってこちらを見てくる彼に、俺はただニヤリと口角を吊り上げた。



そのまま後ろを向き、床に置いていた帽子を拾い上げて 俺はそれを深く被り直す。
皆から背を向け、腰に手を当てて顔だけ後ろに向ければ その姿だけで幹部である彼の雰囲気が出ていた。

その瞬間、少しだけ彼等の騒ぎ声が止み シン・・と部屋中が静まり返る。
そしてその空間に彼の低すぎず 高すぎず の、丁度よい声音が綺麗に響き渡った。




「私はロケット団でもっとも冷酷と呼ばれた男。・・・私達の邪魔はさせませんよ」




スッと細められた目に、弧を描いた唇がまさに彼らしくて おもわず少しだけ彼等は見惚れてしまう。

そのまま俺は素早くモンスターボールを腰から外し、軽やかにそれを上に投げては ソレをパシッとキャッチした。






「・・・ちょっとランス様っぽいかも・・・」





ほぅと息を吐いたしたっぱの彼女に、何故か知らないが きっと酔っているせいだろう 俺の身体が勝手に動き出す。
そのまま近づく俺に驚いて固まっている女の頬に手を添えて、もう片方の手で顎を持ち上げてやった。




「似てますか・・?」

「・・・く、悔しいけど・・・・・」





似てる 特に声が。 その言葉を聞いた俺は何故か満足になって、そのまま息をおもいっきり吐き出した。

なんつーか、今すっげえ楽しいな。

すると静まり返った部屋が一瞬にしてがやがやと騒がしくなり、笑う者も居れば「おー」と感動の声を出す者もいた。




「なんだよ・・・・お前そんな特技もってたのかよ」

「すっげぇ似てた・・・!ヤベえよ、声と雰囲気が ぱねぇ」

「だろ?・・・伊達に3年間もそばで働いてねーからな」




ケラケラ笑う俺は完全に酔っているだろう。間違いない。
そして未だに若干顔を赤くさせて固まっている女は、何故か俺の方をじっと見ていたがきのせいだろう。

するとそんな様子を見ていたほかの同僚が、俺の後ろでこそこそと何やら話だしていた。






「ちょっと、アンタ一体何飲ませたのよ」

「何って・・・・普通の酒だぞ」

「普通の酒一杯でアイツが女に手を出すほど酔うわけないでしょっ」

「そうかー?俺だったら酒が無くても普通に女襲うけどな」

「死ね、乙女の敵よ」

「酷ぇ!」





少し本気で言ってやれば、そのドスの効いた声に同僚はビビって固まってしまった。
男が涙目なんてなんとも惨めな姿だろう。

だが彼女はチラリと彼が飲み干したグラスに目を留めると、先程コイツが彼に飲ませた酒のある所に気付く。



「・・・・・ねぇ」

「どうした?」

「ちゃんと水で割ったの・・・?」

「いや、ロック」

「アンタ・・・・ばっかじゃないの!」

「良いだろ、そこまで強い酒じゃねーし」

「いや、このアルコール度十分高いぞ」




ずいっと横から割って入ってきた他の同僚がビンを片手にそう言ってくると 彼女は「ほらね」と彼を睨んだ。
そのまま皆で彼に視線を向ければ、何故か周りに女子がちらほらと居て 楽しそうに会話をしている姿が見える。

お酒の力はここまで人を変えてしまうのか、いつもの彼ならありえない光景なだけに皆驚愕した。























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まずどうした って感じですよね^p^←
先輩は酔うとスケベ・・・げふん、なんでしょう。酒癖が悪いと思いますきっと、ええ。(無責任

何かカオスになってしまいましたorz
先輩を応援して下さった皆様、大変申し訳ございません(土下座


09/12/04


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あきゅろす。
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