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「おー、いたいた」

「お前か、あの馬鹿の後輩ってのは」





廊下を歩いていたら誰か知らない人に呼び止められて、私は険しい顔で振り返った。

先輩が『俺様の部屋がピンクなのが許せねえ』とか怒ってたから
とりあえずかわりのカーテンを調達しようと倉庫へ向かおうと思った矢先にこれだ。

ニヤついた顔でこちらに近づいてくる彼等は、どうやら私の事を知っているらしい。・・誰だっけな?





「俺等の手紙、ちゃんと読んだか?」

「あの馬鹿に届けさせたんだけどよ」

「・・・・・・・あぁ!」




あれか、思い出した。
先輩の部屋で見つけたあの紙、私への挑戦状か知らないが思いっきり好き放題書いてくれたあの。

まさにそれを書いた人物が目の前に2人、私は煮えくり返る思いで彼等を睨み上げた。




「あんたら、よくも私と先輩を侮辱してくれたわね」

「あ?そんなの、侮辱されるような事をしたお前等が悪いじゃねーかよ」


「ふざけないで」



短く言い切った私の言葉に、目の前に居るしたっぱの1人がカッと怒り出した。
そのまま私の髪を掴んで、抵抗する私を気にする事なく強く引っ張ってくる。




「お前のせいでこっちは気分悪くなったんだよ。何とかしろよ、クビになるとか色々あんだろ?」


「・・・・いい加減にしなさいよ」



瞬間、怒気の混じった名前の声音に思わずしたっぱ達が一歩退いてしまう。
ギョッと目を見開いて固まった彼等を確認し、私は鋭い目つきで近づき 睨み上げた。





「気分が悪くなったって?その割には私と先輩を苛めるのが随分楽しそうに見えたけど何なの。
 本当は退屈を免れる良い奴が出て来て、逆に気分良くなってんじゃないの?」

「な――― 」

「しかも何とかしろだって?そんなの今してんじゃないの。私だってもう男とか言い張る気も無いし 服だってちゃんと女のを着てるわ。
 それに先輩だって、ちゃんと罰を受けているのよ。それを馬鹿みたいに邪魔して「何とかしろ」って、したっぱとして情けないにも程があるわ。
 仕事を馬鹿みたいに押し付けて、暇があれば嫌味満載の手紙書くわ。貴方達アテナ様に従えてんでしょ・・?仕事をなんだと思ってるの。
 幹部のために尽くしもしないで、ロケット団復活とか夢みたいな事言わないで。」





全て一気に言い切った名前の底冷えする気迫に、したっぱ達は一瞬にしてピタリと固まってしまう。
あまりの迫力に暫く何も言えないでいたが、未だに私の髪を掴んでいる彼がハッと我に返ると そのまま顔つきを険しくさせた。





「うるせぇんだよっ、元はといえばお前が嘘ついてたせいじゃねーかよ・・!」

「そうだっ、何を偉そうに言ってんだ」

「いたたたっ・・!ちょっと、女に暴力振るうなんて 男として恥ずかしくないわけ・・!?」

「男って言ってたお前に言われたくねーんだよ」

「もう女だわ!」




叫んだ私を気にする様子もなく、彼等は私を挟んで見下してきた。
そして更に痛みを増す彼の力に思わず私は顔を歪め、彼の腕を掴んだがまったく意味が無い。


だが、ギリッと髪を掴み上げられる痛さに私は目をぎゅっと瞑って堪えていると 不意にその感覚から開放された。
ハラリと離された髪が肩に落ち、頭を押さえながら私は上を見上げると そこには誰か知らないしたっぱが一人居た。





「なーに2人で女苛めてんだよ、ダッセーなお前等。ひゃっひゃっひゃ!」




独特な笑い方をする彼に、私はポカンと口を開いていると そのままぐいっと頭を近づけられた。
髪を掴まれた部分を優しく撫で、不敵な笑みで覗き込んでくる彼の顔に一瞬見惚れてしまう。




「まだ痛ぇか?」

「い・・・いえ、もう大丈夫です」

「そーか、なら良かったぜ」



「ひゃひゃひゃ」と楽しそうに笑いながら顔をあげた彼に、私は唖然としてしまった。
いきなり現れたと思ったら、彼等の腕を振り払って私を助け 心配までしてくれたのだ。・・・こんな人も居たんだな。

そう思っていたら、彼は帽子を深く被り直し そのまま鋭い視線で目の前に居る彼等2人を睨んだ。



「男が女に言い包められるなんざ、情けねぇ。まだこっちの方が頭良いんじゃねぇのか?」



ニヤニヤしながら馴れ馴れしく私の肩に手を置き、もたれ掛かってくる彼はとんでもなく自由人な人だと思った。
だが意外にも圧し掛かってくる重さは軽く、細い体つきを見ればそれもすぐに納得できる。・・まぁこの際顔が近いのは気にしないでおこう。

だがそんな彼の態度が気に入らなかったのか、目の前に居るしたっぱ2人はムッとした表情で口を開いた。



「ていうかさ、行き成りなんなわけ?そもそもお前には関係ねーだろ」

「お前等もだろ?」

「俺達はコイツと一緒で、アテナ様の所属なんだぜ?関係あるだろ」

「しかもお前、確かラムダ様の所の奴じゃね?部外者が口出すんじゃねーよ」



次々と嫌味を言ってく彼等の言葉に、詰まるどころか 逆に彼は余裕そうに笑みを浮かべていた。
ニヤリとつり上がった彼の表情を見て、彼等はビクリと肩を震わし めいいっぱいこちらを睨む。




「お前等、ランス様が呼んでたぜ」

「・・・・は?」

「俺さまは忙しいのに、わざわざこれを言いに来てやったんだ。一様関係あるだろ?」

「ちょっ・・・ちょっとまて、何でお前がそんな事を俺等に言いに来る必要があんだよ・・!?」

「知るか。俺さまが廊下歩いてたら、通りかかったランス様に呼び止められたんだよ お前等を連れて来いってな
 で、来てみたらこのザマだ。わかるか?」




クツクツと喉で笑い、声を出すのを堪えている彼を見て 彼等の背中は冷やりとした風が通った。
そしてカチカチに固まった彼等をそのまま無視して、私の腕を引っ張るなり背を向けて歩き出す。










「精々クビにならねえようにしろよ? ひゃっひゃっひゃ!」










そう言って心底楽しそうに笑う彼の姿は、悪魔より恐ろしかったと
その場に居た彼以外の者が思った。





















救世主は悪魔
























「ああ、ようやく来ましたか」



くるりっと椅子ごと振り返り、こちらを見据えてくるランス様の視線は酷く痛かった。
未だに状況が理解出来ずに固まっているしたっぱ二人を 彼は特に気にする様子もなく 静かに口を開いた。




「入ってきなさい」

「・・・・・失礼します」


「な・・・!お前―――」




登場した人物に、彼等は驚いてその姿を見つめた。
そして部屋に入ってきた彼はそのまま一枚の紙を懐から出すなり、ずいっと二人の目の前にソレ突き出してきた。




「この書類、よく読んでみろ。俺の罰の受けた内容だ」

「な・・・・そんなの見なくたって内容はもう知って―――」

「一番下だ」

「・・・・・・!!」




見た瞬間、彼等は口を大きく開けて絶句した。

そしてフラリと体を傾け、冷や汗を流しながら後ろに退く彼等を ランスは見逃さなかった。






「彼の罰は全所属の使い走り、それも『幹部限定』ですがね。
私がラムダ宛てに出した書類を彼に運んでもらい、そのまま更にラムダからの仕事を彼に任せようとしたのですが・・・・
途中でどこぞのしたっぱ共があれよこれよといらぬ仕事を追加したせいで作業が遅れてしまいましたよ」







その時、まさにロケット団居一冷酷と呼ばれた彼の事が少し分かったような気がした。
氷よりも冷たく突き刺さるランスの視線、そして「ざまあねぇな」と冷たく笑う彼の表情に 俺等は恐怖を覚えた。










「さて、大事な仕事は私が徹夜するので遅れたところで大丈夫ですが・・・・次もこうなっては困りますからね」











次に彼の口から出される返答に、2人はその場に崩れ落ちてしまった。






















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よし、フルボッコ^p^★(貴様

この話は書いてて楽しかったとかなんとか・・ゴニョゴニョ(殴

「ひゃひゃひゃ」君、愛してます・・!////(いらぬ告白



09/12/28


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あきゅろす。
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