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「な、なんじゃこりゃ・・!」




部屋につくなり、あまりの豹変っぷりに思わず私は絶句してしまった。

誰の仕業かしらないが、部屋のカーテンが全部ショッキングピンクになっていて テーブルとソファーが赤色になっている。
目がチカチカしながらも私はそのまま部屋の中に恐る恐る入るが 部屋の色以外に特に変わった様子はないようだ。




「先輩は居ない・・・か」




そりゃそうだ、彼は私の分の責任を負ってくれたのだから 今こんな所に居てはおかしな話だ。
がくりと項垂れながら、私はのそのそと先輩のベッドへと足を運ばせていると
机の上に散らばっている紙の束に目がとまり、気になった私はそれを手に取った。



「これは・・・・・・・・」



見た瞬間、目の前が真っ暗になり 心臓の音がバクバクと脈打つ。
もう部屋の色がおかしい事すらツッコム元気が出ない私は、そのままボスリとベッドに身を沈め 目を閉じた。






「荷物なんか・・・絶対にまとめてやるもんか」





頭から布団を被り、いつもそばに居た彼の香りに包まれながら 私は紙を握り締め少しだけ泣いた。









































「おい」



―――まただ


俺はうんざりしながらも、渋々後ろを振り返った。

すると今度はラムダ様の部下が俺を待ち構えていたようだ。どうしてドイツもコイツもこう暇人なんだか不思議でならない。




「お前、後輩が女だったらしいな」

「・・・だからどうした」

「おかしくね?普通気づくだろ、そんぐらい」

「そう言うけどな、案外気付かねぇもんだぞ」





俺は睨みながらそいってやると、馬鹿にされたように笑われた。
本日何度目だろうか、流石に無視しきれなくなってくる程 俺のイラつきは溜まっていた。





「じゃぁ、ランス様のところの奴等は見る目が無いんだな」





ニヤニヤとした顔で笑い、吐き捨てられた台詞に俺はおもわず手が出そうになった。
コイツは今俺だけじゃなく、ランス様ごと全ての者を馬鹿にしたのだ。

下品に笑い、面白いものを見るかのような視線に 俺はおもわず吐きそうになってしまう。



「本当に情けねぇよなっ!ふっ、ははは・・・・っ」



だが下を向き、何も言えずに俺は黙っていると そこでいきなり笑い声が止んだ。

俺は何事かと顔を上げると、そこには目の前に居る奴と同じ ラムダ様の所のしたっぱが笑う彼の首を掴んでいた。





「邪魔なんだよ、俺さまの部屋の前でサボってんじゃねえ。 したっぱのしたっぱが」




ドサッとそのまま彼を廊下に投げ捨て、強い力で首を掴まれていたソイツは苦しそうに肩で息を吸う。
俺は何がなんだかわからずにそこで突っ立っていると、目の前に居るしたっぱが楽しそうに口を開いた。




「勘違いすんなよ、別に助けた訳じゃねえ。ただ新入りのしたっぱにまで馬鹿にされんのはどうかと思っただけだ」




そう言って独特な笑い方をする彼の表情は嫌いじゃなかった。寧ろ見ててこっちまでスカッとする。
すると彼はドアに手をかけ、床に転がっている新入りのしたっぱを無理やり担ぐなり その部屋の中へと放り込んだ。

ぐえっと蛙を踏んだような声が聞こえ、それを彼はまた楽しそうに声を出して笑った。





「まぁ、ランス様にはいろいろと世話になってるしな。俺さまも、ラムダ様も」





俺の顔をしっかりと見ながら言った彼は、「おら」と顎で廊下の向こう側を示す。
そこには何やら考え込んだ様子でこちらに歩いてくるランス様の姿があり、俺はおもわず彼に視線を向けた。





「・・・・ま、嫌いじゃねえぜ お前等の事。ひゃひゃひゃっ」





そのままドアを閉めて、彼は目の前から姿を消した。
『お前等の事』とは、俺と名前の事を言っているのか。

ボーっと突っ立っていると、いつの間に目の前まで来たのか。ランス様が腕を組んで見下ろしてくる。



「何を笑ってるんですか、気味が悪い」



眉を寄せてこちらを睨んでくるランス様の一声で、俺はハッと我に返る。
何で俺は今、少しだけ嬉しいと思ってしまったのか。まったく訳が分からなかった。

だがランスは気にする様子はなく、そのまま彼にいつも通り話しかける。





「どうですか、パシリ活動の方は」

「・・・ええ、これはキツイ罰ですね」

「当然です、あの馬鹿の分まであるんですから」





楽だったら困りますよ と、溜息交じりで言ったランス様の一言に不覚にも俺は笑ってしまった。
それに気付き 何だとでも言いた気な顔で睨んでくるランスに、彼はしっかりと視線をあわせる。





「有難うございます」

「・・・・・・・何がです」

「俺ら二人とも、救って下さって」





言った瞬間、ランスの瞳が微かに揺らいだのが分かった。
だがすぐさま表情を戻し ランスは溜息を吐くなり、持っていた書類を彼に渡した。




「ただでさえ人手不足と言うのに、貴重な人材が減っては困りますからね」

「あっははは、まぁそうですね」

「・・・これが最後です」




後は自分で何とかしなさい と言葉を残し背を向けた我が上司に おもわず苦笑いが漏れてしまった。
相変わらず不器用なお方だ。




後は俺と、名前の問題だな。


















這い上がる者は強い



























誰だって、言え無いことって有るよな。名前。























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珍しく、ランス様が協力してくれてます(笑←←

そして部屋がドピンクなのは、あのお方の仕業です^P^(蹴



09/12/24


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あきゅろす。
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