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終わった。
そう私は思った これで全てが終わったんだ。
ここまでくるのに凄く長かった ただゆっくりと進んでく旅の中で得たもの。
自分のポケモンが勝った時の喜びから 今ここで一緒に旅を続けられる喜び。
本当に、ここまで一緒についてきてくれて有難う。
沢山の興奮と、勝つ事の感動を教えてくれたのは他でもない戦ってくれたポケモン達だ。
一緒に勝ち進んで、一緒に旅して。
これからだったのに
なのに、何故
「いちばんだって・・・・世界で一番強いって言ってたじゃないか!
やめちゃうのかよっ、どうすんだよこれから?!」
そこで見た光景にはいつもの笑顔で話す家族の顔は無く、ただお互いに冷たい表情をしていた。
赤い髪を風になびかせ、少し涙目で叫ぶ彼の顔はまだ少し幼いながらも しっかりと我父を睨んだ。
「・・・・・・負けを認めなければ先には進めない・・・」
黒いスーツに、黒い帽子を深めに被った男は小さな声でそう言って ゆっくりと少年を見据える。
その目は親子とだけあってか、息子の目とよく似ていた。
そして決心したかのように顔をあげ、父は息子へ語りかける。
「私はより強い組織をつくるため、今は一人になる」
「強いってなんだよ!大勢で集まったって結局子供一人に負けたじゃないかよ!!」
「大勢の力を組み合わせることで大きな力を生み出す。それが組織と言うもの・・・」
無表情だった顔から一変し 悲しげな表情をつくった父を見て少年は少しだけ言葉につまる。
でもそれでも父の決心は揺らがず、ただ行く先を真っ直ぐに見つめながら今度はハッキリと言った。
「私は部下達の力を活かしきれなかった・・・・!私はいつの日か必ずロケット団を復活させる!」
そう、父はあの有名な組織であるロケット団のトップであり、解散をした今もなおそれは変わっていないであろう。
だがつい数日前に、たった子供一人に組織が負けた・・・・
そして父は今、その責任と復活を成し遂げるべく一人で何処かへ消えようとしている。
俺はそれが逃げてるように見えて、嫌で嫌で仕方が無くて 思わず叫ばずに居られなかった。
「わかんねえ!オヤジの言ってること全然わかんねえよっ!」
「・・・・・・・お前にも分かる時がくる」
そう言い、背を向けだんだん遠ざかっていく父の姿を見たとたん、また無性にムカムカしてきた。
また・・・・・・
そうやって逃げようとして。何だよ分かんねーよ・・・・本当にっ・・・
「分かりたくないっ!俺はオヤジみたいにはならない!
・・・・一人だと弱いくせに集まって威張り散らすようには絶対にならないぞっ!
強い男になるんだっ!一人で強くなってやる!
一人で・・・!!」
その背中が見えなくなるまで叫び、少年の顔はわずかに寂しそうな顔をしていた。
そして何も口を出さずに ただ黙ってその様子を見ていた私は
もう殆ど見えなくなった男をとっさに追っかけていた。
こんなのあんまりにも酷すぎる。
だがそれもすぐ後ろから伸びてきた小さな手に阻まれ、追うことは叶わなかった。
「待てっ・・!!!お前まで行くなっ・・!」
「離して・・・・離しなさい、シルバー・・・っ」
「駄目だ!」
がっしりと掴んだ腕に力を入れて、シルバーはその鋭い目で私を睨み上げてくる。
いつからこんな顔をするようになったのだろうか
その顔を私はまだ一度も見た事が無かった筈なのに、不意にもそれが彼らしいと思っただなんて。
「怒りたくなのるは分かるけど・・・・・少し落ち着いて」
「悔しくないのかよ・・?!大事に大事に育てたポケモンが・・・あんな勝手な理由で・・!!」
「・・・・・・・・・」
「もうすぐ・・・・もうすぐで夢が叶う寸前だったのにっ・・・それを・・・・・
それを自分の組織の失敗と勝手な理由で、お前のポケモンを全部・・・・!!」
そこまで言うとシルバーは「クソッ!」と苛立ち気に地面にしゃがみ込んだ。自分の事じゃないのに、よくそこまでと思う。
そう、この子は優しいんだ。いつも父ではなく、私の言う事ばかり聞いてくれて ずっと後ろを付いて着てくれた。
素直でポケモンが大好きで・・・・、
そしてあと数年もたてばやっと自分のポケモンをもって旅立つ日が来る筈だ。
どうかその日までは。
「ねえ、私はそのうちポケモンとまた一緒に旅をする。だからシルバーも、頑張って自分のポケモンを探して。
お父さんみたいに絶対に他人から横取りしたりとか、無理やり強くさせたりとかはしないでほしいの」
「・・・・・そんなのまだ先の話だろ」
「うん、でもまたロケット団がすぐに復活したら・・・・誰があの人を止める?今度はレッドも居ないかもしれないのよ」
その名前を聞いたシルバーの体がわずかにピクリと動いたのが分かった。
今回、ロケット団の企みを阻止した私の友達でもある彼。
その彼に負けた父はこうして、ロケット団解散宣言してもなお まだ復活の夢は諦めきれずにたった今旅立っていった。
絶対に、こんな事またあっていい筈がない。
私は何か思いつめたような顔をしたシルバーの肩を手でしっかりと掴んで、いつもの笑顔で言った。
「絶対に、今度は私達で止めよう」
これは父だけではなく、私達の挑戦でもある
私もシルバーも、まだポケモンも何ももっていない状態から。
そして父もまた、組織も仲間も何も無い状態からの。
たった今、一から皆歩き出したばっかりだ
そしてその時はすぐにくる。
誰もが油断したその時に、組織復活の準備が着々と進んでいることを 私達が知ったのは遅くは無かった。
あれはもう3年前の思い出
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やってしまったロケット団夢連載・・・でも後悔はしてません(笑←
すっと書きたかったんです・・・!もうHGSSのロケット団幹部&したっぱ君に心を射抜かれて
プレイ2日目で書きたくなりました(まて
そしてしょっぱなから知っている人は知っているネタバレすみませんorz サカキ様万歳!(^o^)/(殴
設定がごたごたしていますがこれから少しずつ明確にしていきますので、付き合いの方よろしくお願いします^^
暁でした。
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