[携帯モード] [URL送信]
好きって言わない!

ある晴れた昼下がり。…とでも詩や漫画だと言うのだろうか。
本当にそれ位天候は丁度良い感じで、暖かな日差しに包まれた午後の事。

昼寝には最高のあったかさだなこりゃ。とぼんやり考えながら坂田銀時はフラフラと街を歩いていた。
後ろにはお馴染み、万事屋メンバーの新八と神楽がついてきている。


偶然か必然か、そんな中ばったり出会してしまう人もお馴染みの人な訳で。


「あれ、旦那じゃないですかィ」
「おー総一郎く…ん」

銀時の視界に入ってきたのは、
総悟でさァ と名前を訂正する沖田。そして彼の隣、もとい銀時の向かいに居るのは鬼の副長土方十四郎、だ。

「…………」
「…………」

しばらくの沈黙。(銀時も土方も「ゲッ」の形に口を開けている)そしてみるみるうちに怪訝な顔つきに変化していく2人。

「…何だ、多串くんかよ」

「んだとコラ。誰が多串くんだ。しかも『何だ』って何だよ。何だって」

「いや〜?真選組も暇になったね〜」

「うっせーな。今は巡回中なんだよ。年がら年中ボサッとしている野郎はとっとと帰って糖分でも摂取してろ」

「っ何だとコノヤロー。それに糖分舐めてもらっちゃ困るんですけどォ〜?お前こそっあの黄色い気味悪ィヤツ吸ってろよ『ドゴォォッッ!!』っっあぐぇぶふっっ!!」

凄まじい音が襲うと同時に銀時は奇声を発する。
どうやら土方に一撃やられたらしい。

「お前、今すぐマヨネーズに謝れこのクソ野郎!!じゃねェと殴るぞ。マジで」

「てめえ殴ってんじゃねーか現在進行形で!!!!殴ったよね?今グーで。銀さんを殴りましたよねェェェ!?」

「それとも斬っておくかテメー」

「聞いてないしィィィ!!あーそうですか、分かったよ。お前は耳まであの黄色いヤツで埋まって聞こえないのね?うわぁ〜可哀想耳悪いんだね〜」

「お前さっきからごちゃごちゃうるせェんだよなんだよ黄色いヤツ黄色いヤツってよォォ!!!…はっ。それに糖分で溶けた使い物になんねェ脳持ってる白髪天パ野郎よりは断然マシだ」

「んだとゴルァ!!?テメェやんのかコノヤロー。……あ〜…も〜何でこんな最高のお天気日和に最悪の奴に会っちまうんだろうなァ」

「それはこっちの台詞だボケ。一気に気分悪くなったわ」




目と目が合ったかと思えば、二言目は挨拶代わりに憎まれ口を叩く。そしてすぐに喧嘩が始まる。それはもう、

「『いつもの事』でさァ」
「本当飽きませんよねぇー…」

沖田がボソリ呟く。
続けて新八が呆れた口調で言った。

「こいつら後ろに私達がいる事を忘れているアルよ」

神楽が冷ややかな目をし、歪み合っている2人を軽く顎でしゃくった。

これ等の事を3人が話しているにも関わらず銀時と土方はギャーギャー騒ぎ立てていた。


「「ほんっっとにムカつくなテメェ!!」」


「ハモったアル」
「息はぴったりですね」

両者とも大声で喧嘩をしてた故に息がゼーゼーと荒い。




「…けっ」
「フン」

かれこれ数分後、喧嘩が一区切りついたのか、銀時と土方は最後に互いを睨み付け、互いにクルリと背を向け来た方向をズンズン戻っていった。


「あ、ちょ、銀さん!」

「銀ちゃん待つアル!」

「クソ土方待てコノヤロー。ついでに死ね」

お前は一言多いんだよ と土方が沖田を叱咤する声が遠くで聞こえる。












(っクショー…ぜってぇ多串くんには…)
(チ…ッ死んでもあのクソ天パには…)








好きって言わない!
(んな事言ったらアイツに負けた気がすんだよ!)






ーーーーーーーーーーーーーーー

素直じゃないのはお互い様。こういう両思い一歩前大好きなのですが私が書くとどうも…汗


2010/3/10


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!