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お仕事-出逢い-2
「君、大丈夫?!」
「は、はぁ…ま、まぁ・・・。」

腕を掴んだのは男の人だった。しかし、知らない人だ。一体誰?しかし、男の人は凄く息切れしてるし肩で息をしている。ヤベー。もしくはコイツがストーカーか?ヤベェ、ヤバいものに関わちゃったよ。面倒くせ。

「君!」
「ひぃッ!」

急に顔を近づけられ、気味が悪く顔を後ずさりしてしまう。人と人と一定の距離を置いて付き合っている身としては、こんな急激な至近距離、慣れてもないし慣れたくない。

「それ、メイクしてるの?」
「え、はぁ?いや…まつ毛だけしか…。」
「自前?!」
「え?じ、地毛…。」

早く話を終わらせたくて全てベラベラと喋ってしまう。頼むから、その至近距離を止めてくれ。

「そうか・・・じゃぁ、ちょっと来てくれッ!!」
「え、えぇ?!」

人の返事を待たずに走りだすとは、一体親からどんな調教ゴフンゴフン!教育を施してきたんだ!いや、仕事と言う環境が君をそうさせたのか?あぁゆっくりおじさん見てぇ!

私が返事する間もなく、急に男の人は私の腕を掴んだまま走り出した。その目は、正に 狙った獲物は外さない、と言う目だ。
・・・ヤバい。流石に、警察に通報する準備や手筈は整えた方がよさそうだ。かと言って、今いる都道府県には友達はいない。地元のしかいないから…あぁ、ヤバいなぁ。警察に残す手かがりも指紋も証拠も後もないじゃないか。
今手を外すと、また追ってきそうな雰囲気だ。・・・キリのいい所で逃げるか?いや、だがしかし…。


男の人が連れた場所は、「guru」と赤い看板に白い字で書かれた建物だった。・・・ん?この看板……どこかで見た事あるぞ?
男の人は私の腕を引いたまま中に入り、受付のところで何かを話している。

「あ、あの!私…ヤバい事はしませんのでッッ!!!」
「プッ!いやいや、大丈夫。君の考えているような事はしないよ。」

必死でそう抵抗したら男の人に笑われた。君の考えている事?人身販売や臓器販売や最低の事態の事だろうか?うわっ!奥の部屋から女の人が来た!「お客様、こちらへどうぞ。」なんて、え?え?

「どうぞ、お客様。」
「いや、何言ってるんですか。」
「プッ。まだついていけないみたいだね。」
「いやいや、いきなりついてけ、って方が無理だし。」
「うん、そうだね。」
「どっちですか。で?」
「で?って…ついてけばいいだけだよ。」
「嫌だよ。何で急に…」
「まぁまぁ、お楽しみお楽しみぃ。さぁ、さあ!お金は僕が全て持つんだから!」
「ちょ、止めろ!止めて下さいッ!!どうせ後で請求する性質なんでしょ!嫌ですからなッ!!!絶対に嫌ですからなッ!!!!!」
「なんだよー。そう人間不信だと折角のチャンスを逃しちゃうぞー。さぁさぁ!」
「さぁさあって…何をいきなりッ!いきなり遭った人間をどう信じれと?!」
「・・・・・・・・・。」

あ、男の人がいきなり黙った。
黙ったと思ったら、急に白い紙と小さいメモ用紙を出して、さらさらと何かを書き付けた。待つ事数分。

「はい。」
「・・・これは?」
「請求書と電話番号。さぁ、従業員さんが迷惑になっているんだから、早く行ったら?」
「・・・・・・」

にっこりと笑顔で言われてしまったら元も子もない。そして此処の人達の迷惑を考えたら……そりゃそうだよな、いきなり注文をした客がいきなり喚き立てて嫌だとか何とかぬかしやがって…金入らんのかッ!ってなったら・・・嫌だよな、うん・・・。
そこで私は うん と頷いてしまった。首を縦に振ってしまった。

そこが多分、間違いだったんだと思う。


赤と黒のライトで照らされた部屋から出た私の肌はピカピカのつるつるで角栓や隈等無かった。まぁそう目立たないものだって、言ってたけど…(隈以外は)

そして何やら服を着せられポーズを撮らされはい、チーズ。
いきなり会社のモデルになれとか君と同じ大学の子通ってるから信用のとれる所だとかぬかしやがって、更に渡された番号不安だから掛けてみたらその人の電話に繋がるとか本当に同じ大学に大学に通っている子で悪い噂聞かない子とかいて軽く人間不信に陥ったりとか、断ったのに何故か写真が出てたりとか問い合わせが殺到したりとか私のプライバシーは一体どこにいったのか


「もう、そこが全ての間違い(始り)だったんだ…。」
「そうかなー?俺にとっては、嬉しい事だったんだけどなー!」
「と言うか、その時点で疑わなかった貴方が悪い。」
「ちきしょー!言うなよー!」
「まぁいいじゃないですか!そのプロデューサーのお陰で、この世界一いや、この業界で一番美しい」
「煩い!」
「私の話を遮るなッ!三木エ門ッ!!」
「邪魔なんだよッ!滝夜叉丸ッ!!」
「・・・思ったんだけどさ、三人とも………何時から、このお仕事を?」
「ふふん。聞いて驚かないで下さいよッ?!なんと、中学一年生からですッ!!」
「ふん、読者モデルでだった癖に。」
「ハッ。そう言う君は私より一日遅れではなかったではないか!」
「何をー!掲載された回数は僕の方が多いぞ!」
「はぁ?!月を平均すれば私の方が多」
「僕?僕は、まー…高校生からだったっけ?」
「へー。なんで?綾部さんだったら断ると思ってたのに。」
「うーん・・・何となく?あと、さん付けやめて。苗字止めて。名前で呼んで。」
「えー。だって先輩だし。」
「たろうの方が上でしょ?」
「でも、業界では綾部さんの方が先輩でしょ?」
「ねー、ねー!俺はー?!」
「タカ丸さんは私よりこの業界に詳しいでしょ?」
「・・・なんでタカ丸さんだけ名前呼びなんですか。後、滝夜叉丸の奴と三木エ門も。」
「え。だって苗字知らないし。どっちが名前だか分からないし。」
「え。そう言う理由で?!」
「え!?」
「え?!」

あれ、一斉に三人がガーン!って言う顔になったぞ。まぁ、いっか。

[*yesterday][tommorow#]

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あきゅろす。
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