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お仕事-出逢い-1
私が彼等と出会ったのは、そう 何でもない日だった。
何時ものように携帯に送られた店のメール見て、サイト飛んで、安くて欲しいのだったからまず最初に何時もの古着屋店を回って、そしてメールの来た店へ行く予定だった。久々の休みだから行かない手は無いッ!と思って。それに、ちゃんと久々にぐっすり寝れたしもう最高!
だけど、だけどさ。まさかあんな雑踏の中で腕を掴まれるとは思わなかった。

私は普通に雑踏の中を歩いていた。人混みの中に混じって歩いていた。
誰かは言っていた。この無尽の歩く人混みの波を見ていると、より一層孤独に感じるって。だから人は互いに交りを求め合おうとして雑踏の中で声を掛けたり話をしたりしてそう言えばこの中で人混みの中でいきなり腕掴まれて「キャッ☆イケメン!なにこれ運命の出逢い?赤い糸?結ばれているんだわ!」逆にぶさめんだったら「え、なにこいつキモーイ」ってなるんだったよな、あいた。いたたたた・・・胸が痛くなってきた。
こう考えるのは、私が整形したからではなくて、一度 笑顔で過ごさなかった時期と過ごしてきた時期の逆転を経験して、人間に悲観的な感情を持ってきたからだ。まぁ、これはバイトを初めて徐々にマシな方向に持っていかれてると思うが。最初に初めたバイトよりもマシなバイトだ。まぁ、所詮人間と言うものは便利なもので、利己的なもので。そう言えば、どこかでそう言っていたような・・・

「あ。」

犬かわいい。

ふと目についたペットショップのウィンドーを見て、その場に屈む。私が目についたのは、最初に目についた動物の下のゲージにいる動物だ。

「・・・・・・」

かわいい。びくびくしている。怯えている。この犬はまだ、生後六カ月を経っていない。そう言えば、こう言う所にいる犬は、色々神経に障害をきたすと言っていた。この、犬達が置かれている環境がだ。この犬達が置かれている環境の所為で犬の神経が変にやられて、やたら噛み癖がついたり躾ができにくくなったりと、やたら犬が捨てられる一因にもなるのだ。

「・・・・・・」

しかし、犬を可哀相だからと思って、値段は高いし何より買おうとしている犬の犬種は決まっているのでこの犬を飼おうとする権利は無い。それに、可哀相だから同情心で飼ったのならば、持続が続かないし、何より嫌いだ反吐が出る。
逃げ?いや、違う。そうかもしれない。けれど、この感情は、前から私に根付いていた隅っこの気持ちは、こう言い表すとしっくりくる。

「・・・・・・・・。」

前から人の視線を浴びる事は多かったが、今勤めているバイトと人混みだからと言う理由で吹っ切れてきた。っつーか気にしなくなった。なんだかどうでもよくなってきた。そんな事悩んでいた自分が小さい、みたいな。

でも、違う。

「・・・・・・・・・。」

歩く速度を早くしても、視線と音は自分のと丁度、ジャストだ。
・・・ここは、走るか。それとも、巻ききれなかったら人混みの多い…いや、交番の前まで走るか。

「・・・よし。」

肩に掛けた鞄をタスキ掛けして、歩きながら軽く足を屈伸させた後、一気に人混みの中を裂けた。
人と人との隙間を狙って走る。後ろのストーカー?も走ってきている。ストーカーの語源は追いかけてくる者、の筈だから、例えストーカーでもそうでなくても、一応語弊は無いだろう。いやいや、その起源を考えている場合ではない。

「・・・し!」

人混みの浅い場所に出て一度急カーブをつける。踏み出した右足でブレーキを掛け、駆けた加速のズレで身体を反転する。が、急に人混みの中から手が現れ、ビクリと身を後ろへ退ける前に、反転したスピードと捻りで身体のバランスが崩れるその前に腕が私の手首を掴み、その正体が現れた。

「君、大丈夫?!」

[*yesterday][tommorow#]

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