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遠ざける ジノスザ




ジノのことは好きだよ、とスザクはいった。
なんということだろう!あのスザクが、だ。
感動ものすぎる。
まるで一度も反応しなかった可愛い子猫がやっとにゃーとないてくれたような感動だった。
うっかり嬉しくてフリーズしそうになったぐらいだ。
え?あれ?今記憶とんでた!というような具合に。
いや、実際聞き間違いなのか?
あまりに喜ばしすぎて、現実感が伴わない。

それでも、あぁ嬉しい嬉しい嬉しい!

これは夢?いいや、現実だ!感じたことのないほど今の私は喜ばしいのだからこれは現実、だ!
だってそうだろう?感じたことがないのだから、そんなもの夢でだって感じられるわけがない。夢は現実であった経験をもとにつくられるのだから。これは、現実で起こったことなのだ!

「スザク!私もスザクがだいすきだ!」

大なんて僕はいってないけど、なんてかわいくないことをいってるスザクを、まるっと無視して抱きしめた。突然で驚いたのか硬直したけど、しかたないというようにため息をつきながらスザクは大人しく腕の中に収まる。(重いとかいってたけど聞こえない!)
私はスザクの髪をくしゃくしゃになでつけて声をあげて笑った。

「だいすきだー!」

「…はいはい、」

声と一緒にぽんぽんと軽く背中を撫でる。
あやされている?みたいな感じでまるっきり年下みたいな扱い(いや年下だけれど)嫌いじゃない。
嬉しさのあまり力の限り抱きしめたら軽く殴られた。
から、しかたなく力を少し抜いた。

スザク私はスザクが好きだ!

溢れてくる思いをそのまま言の葉にのせて(前ジノは口に出しすぎていると今抱きしめているスザクにいわれたけど構わない。だって溢れて溢れてしかたないのだから!)正面からスザクを抱きしめる。
はいはいといつも通りにいうスザクが哀しく笑っていることには気づかなかった。









大切な人ほど側にいてはいけないという言葉を君は知っていますか





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