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笑い方を忘れた少女神子ンビ







「…コレットを治すために」


そう馬鹿そうで単純そうな…どこか瞳の力が強いやつがそういってた。

それに対していつも通りに笑いながらこーんな可愛い子が困ってるつーのにほっとけないとか白々しい事を言って仲間に入った。
…どうやってこいつらと行動するのが自然に思われるのかと頭の中で考えていた俺にとってこれってラッキー?なんて思った事を覚えている。(実際まったく疑われたりしなかったし?)




「…やっほ〜コレットちゃん」

メルトキオ中の女の子が赤くそまる笑みを天使の羽をもつ少女に向ける。

しばらく間をおいてもこの少女からは全く反応はなかった。


『…ま、知ってたけど?』

この少女は『感情』が欠落してしまったんだ、それが自分自身の事のように顔を歪めてあいつらが話していた。(よく敵か味方かちゃんとわからない奴にそんな話できるよななんて思う。ま、こっちにとっちゃありがたいことこの上ないけども)

あんまり近づかないように気をつけながらじっとその顔を見つめる。

『コレットはいつもどじでさ、いっつもどじしてた。例えばクラスの壁にコレットの等身大の穴あけたり…嘘じゃないぞ?
嘘ついちゃいけねーってドワーフの誓いにあるしな!
どじで、犬、とか好きでさ、そんで…いつも笑ってた』辛くても悲しくてもどんな時でも笑ってたというあの赤いやつの痛そうに話す言葉を思い出す。
それが昔のこの少女だとしたら『これ』はなんなんだろう、と思う。
同じ人とは思えないほど感情がない。
感情が見えないという比喩表現ではなく本当にないのだ。
笑う、なんて本当にしていたのかこの人形が。
なんとなく発した『人形』という言葉に我ながらうまく表現できているなと感心する。
そうだこれはまるで人形。
この少女は世界のために人形になってしまったのだ。(神子という犧になってしまったのだ)



「俺は…こんなのごめんだぜ」

ぽつりと呟く。
その呟きは誰も聞いていない。
ここにい(あ)るのは人形と自分だけだ。
思いがけず人形に近寄ってしまったらしい。
この少女の形をした人形がなんの感情もうつさずに武器をふるう。
頬を少し切った。
(やっぱりごめんだこんなのは)







『神子も世界もこんな人形になるのも本当に』




       (笑い方を忘れた少女)



あきゅろす。
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