[携帯モード] [URL送信]

タグアウト!
ページ:1

グリーンエリアの中央には小高い丘があり、その頂上には一本の大きな木が生えていた。
その太い幹から四方に伸びた枝から緑一色の葉が広がる様は、見るものに自然の恵みと壮大さを感じさせる。
池さんが言うには、樹齢は500年を越えるそうだ。遠い昔、この辺りは森が広がっていたそうだが、開発が進み、そして西公園ができたときも、この老樹とその周りの木々は残された。
その堂々たる佇まいは遠くからでも確認でき、つまるところ一番の目印だった。
そして、ゲームを始める地点となるのはいつもこの木の下なのだそうだ。
「現在時刻5時ジャスト。30分逃げ切れば子供チームの勝ちです。鬼の待機時間は20秒、それでは」
凛が用意を促す。
全員が老樹の下に集まっていた。各自、万全の状態のようだ。
「始め!」
号令が響き、遊部メンバーは一斉に駆け出した。
まず丘を下る。すると丘を囲むように敷いてある散歩道に出た。
その道に沿っては行かずに外れて林の中に。暫く走って、桜の木が集まって生えている場所に出る。

そこに、事前の作戦通りにメンバー全員が集合していた。
「遅いやんか、九条君」
西野は笑っていた。驚いたことに、彼女も隣に身を屈めている凛も、息は乱れていない。
「ハハ…お前が一番遅…ゴフォッ!」
そう言う梨本は早くも呼吸が苦しそうだった。

[next#]

1/12ページ

[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!