Fall・Army ページ:1 輸送機の準備が整い、各隊はそれぞれ別々の機体に乗り込んだ。 隊によって、その行き先は違うからだ。 機内は狭く、装備に身を固めた十名の隊員が詰めに詰めてなんとか座れるスペース。 だが、訓練で何度も経験したお陰で誰も文句を言う者はいなかった。 唯一、訓練の時と違うことといえば機内を漂う空気だろうか。 戦場に近づくにつれ、皆の中の怖さと緊張を表すかのように空気が張り詰めてくる。 落ち着こうとタバコを吸う者、機内に取り付けられている小さな窓から外を覗く者、自分の装備を意味もなく弄る者。 皆の様子を見ていると、フェンも段々と落ち着きが無くなっていく。 しばらくはプロペラの音と、強風で輸送機が軋む不気味な音だけが機内を支配していた。 次へ#≫ [戻る] |