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Fall・Army
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「よし、じゃあ俺の合図で突撃だ。少なくとも噴水までは辿り着いてくれよ」
そう説明しながらマイクは敵の様子を窺う。
噴水を越えて、奥に展開する敵は牽制するように時々銃を撃ってくる。数は4ぐらいか。
気をつけなければいけないのはドイツのマシンガン…MP40を装備している兵士。ニックのトンプソンと同じく中〜近距離では単発撃ちのライフルより火力は勝る。
「…GO!」
マイクの合図と同時にフェンは花壇を乗り越える。目指すは噴水だ。身を晒したことで敵は集中放火を仕掛けてくる。すぐさまニックが援護射撃で彼らを牽制。それでも敵の何人かは必死に反撃を続ける。彼らだって、死にたくない、負けたくないのは同じだ。
フェンは出来るだけ身を屈め、広場を駆ける。敵の弾が近くをかすめていく音が耳に届く。恐れてはいけない。フェンはただ噴水に辿り着くことだけを考えた。
後方でニックがリロード動作に入る。マイクが援護を引き継ぐ。マイクの武器はフェンと同じガーランド。ガーランド特有の甲高い銃声が響く。
「もうちょい…!」
敵の攻撃が勢いを増す。今突っ込んで来るアメリカ兵、コイツの突撃は絶対に阻止しなければならないとばかりに撃ってくる。
フェンは何とか噴水の影に滑り込んだ。敵の弾雨は噴水の縁にあたって砕きながらも防がれる。
幸運にもフェンは弾一つ当たってない。
ビルに貰った手榴弾を手に取った。素早くピンを抜く。手榴弾が爆発するまでは約4秒だ。2秒待って敵の中心に投げつける。
「…!」
爆発する直前、敵は何かを叫んでいた。狙いは完璧、爆発で敵数人が吹っ飛ぶ。
「やった!」
思わずマイクに向かって叫んだ。マイクが「よくやった」とジェスチャーだけで、しかし安堵の笑顔で答える。

だが、その顔が一瞬で絶望に変わる。
広場の向こう側からキャタピラの音が聴こえる。
連合軍が恐れて止まないその甲殻が、再び姿を現す。



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あきゅろす。
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