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Fall・Army
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隠れている花壇の向こう側は、敵の銃弾が容赦無く降り注ぐ。花壇のレンガが削られていく。そこに身を投じるというのか…。
戦場に足を踏み入れた味方の誰もが思ったことだろう。部隊の何人かは、この見知らぬ土地で息絶えるかもしれないことを。しかし、まさか自分が…とは思わない。思っていては動けない。
「おい、フェン!大丈夫か?俺の目を見るんだ」
フェンの不安を汲み取ったのか、マイクが語りかける。
彼の目を見た。真剣な眼差し。一瞬発砲音など周囲の音が聴こえなくなった。微動だにせず此方を捉え続ける相貌は、次第にフェンを落ち着かせる。
「よし…。ひとまず深呼吸だ。息を吐いて…吸って…」
マイクに言われて、初めて自分の呼吸がが荒れていることに気付いた。二回、三回と震える体で深呼吸を繰り返す。
「だいぶ落ち着いてきたな。フェン、行けるか?」
「ああ、大丈夫だ…!」
力強く答える。やっと平常を取り戻した。
マイクは一瞬安堵したようだった。彼だって一杯いっぱいなのだ。
「俺が合図したら動け。お前が行き着くまで、二人で全力で援護してやるから。信じろ。」
強く、頷いた。

「俺の手榴弾やるよ。必ず行き着いて、そいつをかましてやれ!」
ニックから手榴弾を受け取った。彼なりに励ましてくれているのだろう。



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あきゅろす。
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