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Fall・Army
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必死に逃げていたフェンたちは、気づくと見知らぬ場所に来ていた。そこは噴水が中心にある広場のようで、様々な店らしき建物も多く見られた。
「どうやら町の中心部まで来てしまったみたいだ。敵がどこにいるかわからないし、これ以上進むのはやめよう」
一緒に逃げていた仲間の一人がそう言った。
彼はマイクだ。フェンと同期だか、訓練のときから優秀で、頼れる奴である。
逃げている最中にはぐれてしまったのか、既に一緒にいる隊員は6人だけだった。戦場に立ったのは今日が初めての新兵ばかりだ。皆、先程までの恐怖に顔がやつれている。
「何人やられたんだ?あの戦車をどうにかしないと…」
「敵が多すぎる!この街に何でこんなに兵力を置いてるんだよ」
そのとおりだ。
他の街への中継地となるため、ネーヘムは確かに重要な地点ではあるが、作戦の一番の目的である橋の奪還に含まれる橋はなく、別の部隊が担当している他の街よりは比較的小規模な所だ。だからこそ新兵の多いフェンたちの部隊が担当することになった。
「ウチのお偉いさんたちがナチ(ナチス・ドイツ)をなめてた、そういうことだろ」
マイクは気分悪そうにそう吐き捨てた。
その一言で隊員内に絶望感に近い空気が流れる。
しかし、状況は感傷に浸る時間すら与えてはくれない。
「おい。ここにもドイツ兵がいるぞ!」
ニックが囁いて注意を促す。
彼は黒人のアメリカ人だ。アメリカには残念なことに人種差別が存在するが、戦場では人種もクソもない。皆がニックを信頼している。彼も期待に答えようと懸命だった。
彼の警告でフェン達は銃を構える。
フェンの前方から広場へ進入して来るドイツ部隊。数は10以上確認できる。
腰を落として武器を構えた臨戦態勢で、向こうも此方に気づいている。
「このままだと囲まれる。3・3に別れるぞ!」
マイクの指示が飛ぶ。
フェンはマイク、ニックと共に広場の左端へ。他の三人は右方へ散る。



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