現在進行形のソレは熱くて当然(元親:現代)
※男主幼馴染設定in極微糖ギャグ。
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夏が来れば思い出す、あのときの恋心
「―――、――!」
子供だった元親が同じく子供だった俺の頬をブった、
そんな俺は元親に宥められるまで大声で泣き散らした。
子供だったあの日の夏 俺はお姫様みたいな幼馴染に恋をした。
幼い頃をよく覚えてる。
「ひめちかー!なあ、あそぼう?ちかちゃんっ!」
元親は俺の手を引いて、夏なんかよく虫取りに出かけてたんだっけ…
今の全然可愛くない元親からは到底想像も出来ないくらいの元親が、俺の思い出すその記憶の中に居る。(すげーガチで。うん)
「ひめちかって呼ぶな、うるせーぞ。…ホントに矢史朗次はガキだな、」
ハハーンと高飛車な態度を前面に押し出しながら元親は言った。
(・・・くっ、くそう!お前だって俺と 同 い 年 の ク セ に !!)
ミーン、ミーン、ミーン。
いっそ清々しいくらいに鳴き散らす蝉たち。その大合唱を聴きながら暑い夏の日差しをちょっとでも避ける木陰を見つけ 俺たちはそこに二人揃って腰掛けた
聞き慣れた鳴声が俺たちのBGM、そんな夏
「ん、」
短くそう言って元親は一本のラムネ瓶をくれた。
開けると透明なビー玉がコロンカランと綺麗な音を立てる、炭酸の中で水色なガラス瓶の壁にぶつかる様が何だか可愛くて。
元親は可愛い顔に似合わず乱暴に額の汗をゴシゴシと拭ってから、もう一本有ったラムネを開封してノドを鳴らして飲んだ。ゴッキュゴッキュ、と炭酸の空気が混じって変な音がする
「ちかちゃん、おいし?」
「…おう、」
ぶっきらぼうに元親が答えた。・・・・まぁ、そりゃあ美味いよな(店に売ってんだし当然)
「あーもう、ほんとに暑いよなー」
「そーだな、あ゙ーだりぃ。海いきてえ、海…」
暑さで気だるげにしてる元親が何だか新鮮で、俺は訳もなく笑ってしまって。そしたら握りこぶしで一度ゴツンと頭を殴られた。
「っ?!!痛い…痛いよう、ひっく・・・うえぇぇぇ!」
自分が悪いのに泣き散らす俺(・・・今考えて見るとうっぜーの、あっはっは。まあ気にしてねえからイイかと思う)
泣きやみたくても止まらなくて。
ノドがしゃっくりの時の様にひっくひっくと何度も何度も嗚咽を零す、そんな俺に元親は呆れた様子で深々と溜息をついた。
「ひっく・・・ごめ、なしゃ…っも、ちかぁっ。ご、め なさ・・っ」
泣いてるからはっきり「ごめんなさい」が言えなくて。謝ったら謝ったで余計涙が出てくる始末、自分の感情ながら手に負えそうもない(あー、昔の俺ってそんなに甘ったれだったのかハッハー)
そしたら、元親はガシガシと面倒くさそうに頭を掻き遣って また「…ん、」と言った。
「・・・?」
その言葉がよく理解出来なかったけれど。イキナリ言われたそれに驚きで涙がピタッと止まってくれたらしい。
「取敢えず片手でイイから、ちょっと貸せ。」
言われた通りに片方の手を差し出したら、元親にその手をぎゅっと握られた。そして俺の頭をぐしゃぐしゃって乱暴に掻き撫でてくる。
「ひっでぇ顔だな、お前」
涙と鼻水が付いてると思われる俺の顔を見て、元親はケラケラ笑いながら言った。
「うあ、ちかちゃん酷い…」
「…お前は泣いたら不細工だからよ、笑っとけ。」
元親流の優しさが心にストンと落ちてくる。(如何しよう、姫なのにかっけぇーよちかちゃん!大好きだ!ってそン時思ったんだっけ…)
「なあ、ちょーそがべもとちかこと、ちかちゃん」
「あぁ?なんだよ。」
「・・・大好きだよ!」
「・・・・・・・はあ?」
唐突な言葉に嫌そうな顔を取り繕いながらも、少しだけ頬を赤くして照れくさそうにしてた。
夏の日の思い出
ひとつ、元親は魚釣りだけじゃなくて虫取りも上手だったコト。
ふたつ、元親はお姫様みたいだったのに本当は王子様だったコト。
みっつ、元親に惚れて思わず勢いで大好きだと告白してしまったコト。
よっつ、元親に勢いで告白したら思いがけず結構照れてくれたコト。
「それから、それからー・・・」
「あー…ハイハイもうイイから、ね?矢史朗次、俺様飽きた。」
「何言ってんだ猿飛佐助君かっこオカン属性かっことじ。まだまだあるんだからもっと俺の話を聞けコノヤロー!」
「ちょ、今のかっこからかっことじの部分まで必要なかったよね、今の。ねえ必要なかったよね…?!」
「まぁ、まぁ・・・・貴殿と長宗我部殿が睦まじき仲なのは理解で来たで御座るから」
「ムツマジキナカってイマドキ使わねーって真田っち!何たるジジくささ!ぎゃはは!!」
「くっ、某(それがし)はジジくさくなどないぞ?!・・・それにしても矢史朗次殿は豪快な笑いで御座るな」
「Hey!俺の笑いはギャハ、そーさGYAHA!!」
「(取敢えず無視)てーかさあ…俺もう部活に行って良い?」
「だーかーらー、まだまだ有るっつってんだろ?黙って聞けよ佐助」
「だから・・・、(俺様、もうヤダ…)」
「某もそろそろ帰りたいで御座る…帰れないなら俺はおやつが食いたいぞ、佐助」
「あれは今の思い出の翌日でさ〜!」
「(もう勘弁してってば!俺様泣くよ?!)」
その頃、屋上では
「へぶしッ・・・(風邪か・・・?)」
一服しながらクシャミをする元親でした。
夏が来ればね、思い出すんだよ 俺の眩しい恋心を。
(もちろん現在進行形、な!)
*END
2011.01.30
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