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「お前…恭弥さんと会ったんだろ?攻撃されたのか?」
「私はされてませんけど、匣に」
「その時どんな感じだった?何か身体に変わったことは?」
「……全身に痛みが走って、息が出来なくて…とにかく痛かったです」
「今も痛みが?あの匣は何処にあ――」
「――ボス」
ヴェルヴェットが口を挟んだ。彼女は緩く首を振り 責めるように刺々しい視線を己のボスへむけている。だが遮られたツナも負けじと睨み返し 僅かな刹那時間が凍結したように思えた。
「邪魔するな、ヴェラ」
「しかし…それは尋問だ」
「当然だ。俺は尋問してるんだからな」
「ただの少女だろう?」
「ただの少女じゃない――匣だ」
立派な研究対象になる。淡々と言葉を紡ぎ 最後にニヒルな笑みを浮かべると颯爽と身を翻した。単に様子を見に来ただけなのだろうか。そんな彼と入れ替わりに姿を現す黒スーツ。黒衣に身を包んだリボーンはヴェルヴェットを一瞥すると軽く手招きした。早口で何かを伝える。するとヴェルヴェットは一つ首を振り 厳しい顔で退出していった。
「ヴェラが行っちゃった…」
藍楽が唯一信頼のおける女性、ヴェルヴェット。マフィア達の真っ直中に一人残され 身を守るように膝を抱えた。人間扱いをされていないことに、自分をモルモットを見る目で見つめてきた腹黒人間に、震えが走る。無意識に山本の袖を掴んでいた。
「大丈夫だって。ツナは酷いことはしねーよ」
「でもさっき…」
「口じゃあんなこと言ってるけど、俺が保障するぜ。ま、でも怖くなったら俺んとこ来いよ、な?」
屈んで目線を合わせ 優しく瞳を細める。漆黒の瞳がきらきらと煌めき 少しの間見とれてしまった。慰めるようにスリスリと頬を擦り寄せる雨燕。
「…お前も、気づかってくれてるの?」
ちょんっとクチバシを撫でてやると 雨燕は小さく声を上げた。その鳴き声が「守ってあげるよ」と聞こえ 息を飲む。匣同士何か通じ合うものがあるらしい。アメジストがキラリと光った。
旋回する雨燕――紫妃の上に降り注ぐ雨粒。僕は踊る、妃のために。さすれば貴女を襲う悲哀も 貴女の癒しとなりましょう。
(君の痛み、癒してあげる)
匣.04
05に続く
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ま さ か の 雨 燕 落 ち !
若干擬人化的な…多分そう言う方面で参ります(笑)
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