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「わりぃな、深桜!助かったぜー!全部直ったのか?」
「はい、データも入れておきました」
「そりゃ手間かけさせて悪かったな。データ入ってたCD-ROM持ってるか?」
「あ、はい。これですよね」
そう、それ!と私が持つ大元のCD-ROMへ手を伸ばすディーノさん。しかしそう簡単に渡してなるものか。私はサッと両手を後ろに回し 彼に取られないようにした。それに伴いディーノさんの伸ばした手は空を掴む。
「な"!?」
「深桜嬢!?」
「これをお渡しする前に、あなた方に何個かお尋ねしても良いですか?」
「「え?」」
ピシリ。そう効果音が聞こえてくる程見事にキャバッローネ一同は固まる。ディーノさんは私の後ろのCD-ROMと巨大なコンピュータを見て「まさか…」と呟いている。
「ディーノさんって…マフィアなんですか?」
「!?も、もしかして…あれ読めたのか?」
「あんな簡単な暗号なら誰でも読めますって」
ボス言わんこっちゃねー!と部下の方々に一斉に不平をぶつけられる彼。「普通読めると思わないだろ!」と言い返すもペシペシと小突かれ 劣勢を強いられている。彼らの反応からすればマフィアであることに間違いないようだが ディーノさんは 私がイメージしていた恐ろしいマフィアから程遠かった。
「深桜…あー…その、お前の言う通り俺達はマフィアだ」
「ツナ君や武も?」
「ああ、ツナは俺達同盟ファミリーの中心ボンゴレファミリーの次期ボスで、山本は次期ボスを支える幹部だ」
うっそだー。と、言いたいところだが 暗号を解読してしまった今信じるしかない。武が私に黙っていたのはショックだったけれど 武なりに気を使ってくれたのかもしれない。
顔を上げると 何一般人巻き込んでんだよ、と相変わらず小突かれているディーノさんがいる。私は心を鬼にして 彼らから絞れるだけ情報を搾り取ろうと決意した。なにせ武が怪我してくる原因が分かったのだから。
「このディスクに入ってる記録ってなんなんですか?」
「リング争奪戦の審判を勤めたチェルベッロが 戦いの一部始終を記録した文章だ」
「でも何で暗号化を?」
「一般人に漏れないためさ。本来ならお前に修理して貰ったコンピュータで解読する予定だったんだが…怪我の巧妙ってやつか」
ディーノさんは うーん、と唸りガシガシ頭を掻く。こんな状況で言うのもなんだが 彼は些細な仕草も様になっていて格好良い。
「なぁ、深桜。他にも文章入ってたと思うんだが…まさかそれも…?」
「あ、なんかのリストみたいのですか?勿論解読しました!」
「げ…」
データには2種類の暗号が入っていた。片方は実に簡単な暗号。そうしてもう一方はリング戦を記録したものより大分難解なもの。恐らく普段の私なら解けなかった。だが何せディーノさんから預かっていたコンピュータがあり それを駆使したところなんとか解読出来た。機械と暗号に詳しい私でなければ成功しなかったはずだ。
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