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「うっそーん!!」

「深桜起きたんなら飯食いねぇ!」

「だってお父さん、今それどころじゃ…!」


見てはいけないものを見た。それはきっと私の人生を狂わせるもの――ディーノさんの正体。



Code Spiral
 code.02 ディスク



私の目の前にあるディスプレイには永遠に続くかと思われる程に長い文字の羅列。各々の文字一つ一つは 全く意味を成さないものだが 少し手を加え組み合わせればそれは途端に意味を持つ。

そうして出てくる言葉は 大抵名詞のみで お互いの了承を得て決めた隠語を使うのだが ディーノさんから渡された暗号は違った。それから読み取れた単語は大まかに助詞、副詞、名詞などに分けられ 私がそれを苦心して組み合わせたところ出てきたのは何かを記録した文章だった。記載されていた内容は観覧人数、会話、そして戦闘の様子。


「え、あれ、ちょっと、これ」


予期せぬ内容に頭がこんがらがり 上手く言葉を紡げない。非日常的な記録――それは記録の中で主に「ボンゴレリング争奪戦」と称されていたものだった。解読していた時も話は繋がらなかったが きちんと文章にしてもやはり中身は理解出来ない。しかもリング戦だとかいう負傷者続出の戦いに弟が関わっているのだから尚更パニックに陥る。しかし思い返してみれば 昨日の時点では分からなかった武とスクアーロという人間との会話と上手く繋がるではないか。


「武が雨の守護者…というか…ま、マフィア…?」


だが私はどうしても信じられず もう一度作業をやり直した。しかし結果は言わずもがな。私は呆然とするしかなく 直接ディーノさんに訊くことにした。暗号のバックアップをCD-ROMにとり 教えて貰ったディーノさんの連絡先に電話を掛けた。緊張気味に呼び出し音を聞く。


『お、深桜。どうした?』

「こんにちは、ディーノさん。修理出来ました」

『本当か!?いや、わりぃなー』


呼び捨てか。つい心の中でそう突っ込んだのは秘密。彼はすぐに取りにくると言いブツリと電話を切った。彼らが来るまでに身仕度を整えなければ。


「これ殺されたらどうしようね」


服を選びながら誰に話し掛けるでもなく呟く私。でもその疑問をもつのはごく自然なことだ。だって勝手に暗号解読しちゃったし しかも依頼主はマフィアかもしれないのだから。ま、その時はその時か、と父親譲りの脳天気を発揮し 彼らを待つ。


しばらくするとディーノさんは4、5人の部下と共にやって来た。相変わらず人懐っこそうな眩しい笑みを振り撒き 部下の方々を後ろに引き連れている。「マフィアかも」と思っているものだから この光景すらそんな風に見えてしまう。人間、印象って大事なんだな。




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