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「造反、キャバッローネ、教会、聖なる夜…」
食い入るように画面を見つめる。雲雀は血の気が引いている深桜に怪訝な表情を浮かべた。興味を引かれて隣りに並べば 後を継いでいく。
「奇襲、殲滅、死……ワォ、何だいこれ?」
深桜の表情と内容から これは只ごとではないと察知する。単語のみだがディーノが危機に陥っているのは明白だった。敢えて繋げるならば「聖クリスマスの夜、教会にてキャバッローネを奇襲せよ。全ての人間に死を与え、ここに殲滅せん」と言ったところか。驚愕のあまり凍結している少女を揺らせば 問いを投げ掛ける。
「放送局長、何これ?」
「暗号…」
「だから何の暗号かって聞いてんだけど」
「……わ、分かんない…」
「は?」
「だから、分かんない…こんな…こんな暗号知らない!」
冷水を浴びせられたかのような衝撃。それは深桜が持ち得る理解の範ちゅうを越えていた。嘘なら嘘と誰かに言って欲しかった。だがボンゴレ用語で暗号化しているのなら、非常に信憑性は高い。いつだったかロマーリオがそう語っていた記憶があった。
深桜は焦燥に駆られカレンダーを仰ぎ見た。クリスマス企画は25日、つまり日本では今日がクリスマス。イタリアと日本では8時間の時差があるため この暗号が示唆している内容が事実ならば 最低でも8時間後にキャバッローネファミリーが奇襲されるのだ。時計は午後6時を指している。時間が、ない。
「ディーノさんに電話しなきゃ…!」
緊張のあまり携帯を持つ手が小刻みに震えていた。スゥと頭の芯が冷えていく。彼女は 大切な人を失うかもしれない恐怖に怯えていた。しかし一方の雲雀は特に焦る訳でもなく ゆったりと椅子に腰掛ける。冷静な態度に余裕が伺え 深桜は微かな苛立ちを覚えた。
――プルルップルルッ…
『お掛けになったお電話番号は現在電波の届かぬ…』
「通じない…」
ディーノの携帯は衛星の電波を使っているはずなのに何故だろうか。言わずもがな、奇襲する人間達が妨害電波か何かを出しているのだ。それ以外に考えられるはずもない。深桜は完全にパニックに陥り 真っ青な顔で雲雀へ縋った。
「ひ、雲雀君、どうしよう…!ディーノさんが死んじゃう!」
「それで死ぬなら、そこまでの人間ってことでしょ」
「そんな…」
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