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 ツナへ向けて恥かしそうな微笑を落とし 空の彼方へ想いを馳せた。彼の仲介のお陰で 妙な意地が解かれていく。そもそも 元々はディーノが悪いとは言え そこまで意地を張る必要はないのだ。仕方ないから明日の朝一に電話が来たら 出てあげようかな、と微かに笑みを漏らした。その微妙な変化を察知するとツナもゆっくりと笑みを作る。


 最初は不安だったマフィアの世界――弟が重症を負ったり 相手も怪我をしたりと、一般人には全く想像もつかぬ世界。だが優しい金髪のボスに出会い そして可愛い弟のボスにも励まされれば そんなに酷い世界ではないのかも、と新たな視野が開けて来たのだった。








 放課後、深桜は人気の無い放送室で紙面に向かう。今頃彼女を除いた部員達は町で祝杯を上げているのだろうか。存在を感じさせぬ護衛を一瞥し 我が家から秘密裏に持ってきたノートパソコンを取り出した。静かに起動し メモ帳を開く。イタリアから帰る飛行機内でマーモンから出された謎なぞを急ぎメモしたのだ。


「…家臣は、王の命令には従わなければならない。ボンゴレが2ならば、彼はキング……キング、は…王?」


 2、エース、キングと言う序列からして3番目。つまりキングはキャバッローネを指す。深桜は微動だにせず画面を凝視した。マーモンの謎なぞを解き見事ヒントを得た今、こんな作業は必要ないかもしれない。だがマーモンは言った。深桜が何個のヒントに気が付けるかがポイントだと。

 彼女はこの3週間、ずっとマーモンの謎なぞについて考えていた。隠された意味を吟味し、噛み砕く。確かこの続きはこうだったはずだ。彼女がエースならば、あなたはジョーカ――『あなた』は解き手、自分を指しているのだろうか。仮にそうだとすれば 以前暗殺者が放った単語と辻褄が合う。


「ジョーカーは切り札、使い勝手の良い札、何にでもなる札…」


 思い付く考えをぶつぶつと呟く。そうしていれば 何かがきっかけでひょっこり名案が顔を覗かせるかもしれないと思った。しかし脳内に一つ疑問が残される。暗殺者達が彼女をジョーカー呼ばわりした事実を、何故マーモンが知っているのか。大して良い考えも浮かばず それどころか逆に謎が増えた。微かに不安を抱きつつ仕方無しに10へ意識を逸す少女。


『…あなたはジョーカー。裏切り者は10だ!…』


 同じ手法でいけば10は上から6番目。つまり同盟ファミリー内で6番目の勢力が反逆を企んでいるのだろう。明るいグイードも6番目ファミリーの一員と言うことになる。しかしキャバッローネに取ってそんなことは周知の事実、深桜は新たな情報を求めて一つのCD-ROMを取り出した。





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あきゅろす。
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