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「(ああ、思い出すとほんと恥かしい…!)」
こんなに日にちが経っているのに一向に日本には来ようとしないディーノ。ずっと待っているのに。会いたいけど自分からじゃイタリアには行けない。だから会いに来て欲しいのに――と、彼女は段々考えが逸れていることに気が付いた。これではまるでディーノに恋をしているみたいではないか、と息を飲んだ。
「ち、違う…!ディーノさんに恋とか絶対違うから!違うったら違う!」
「ええ!?これ違う場所でしたっけ!?」
思わず声を大にして叫ぶと 丁度よくスタジオに入ってきたツナが驚きの声を上げた。配線コードを片付けに来て 今の叫びを勘違いしたようだ。
「…え?あ、ごめん…!それはそこで合ってるよ」
「び、びっくりした…」
万が一彼に叫びの全てを聞かれていた場合は、即座に穴へ埋まる準備をしなければならない。彼女はあの日以来何かおかしい自分に意気消沈し 膝を抱えて座り込んでしまった。すると作業をしつつ横目で眺めていたツナが そっと隣りに座る。そうしてここ数週間元気のない深桜を気遣いながら ツナはおもむろに口を開いた。
「……あの…ディーノさんのことなんですけど…」
「…え…?」
「深桜先輩が解いた暗号について今調べてるらしいんです。だから、その、深桜先輩に会いに来ないんじゃなくて、会いに来れないって言うか…」
「……」
「だ、だから、オレ何があったかは詳しく知りませんけど、ディーノさんのこと嫌わないであげてください…」
「ツナ君…」
「ディーノさんは、先輩のこと凄く大切に思ってるんじゃないかと……って、ああ!オレ何言ってんだろ!」
意味不明なこと言ってすみません!と恥ずかしそうに謝る弟の親友。見透かす力により 深桜の悩みを見事と言い当てただけでなく、ディーノと深桜、お互いが持つ恋心にも目敏く気が付いていた。例え一般人とマフィアだとしても決して叶わぬ恋ではないはずだ。そう考えたツナは 二人を応援しようと決めたのだった。深桜やディーノには何度も助けられたのだから これくらいは当然だ。
「ありがとう、ツナ君。大丈夫…もう大丈夫だから。そこまではディーノさんのこと怒ってないよ」
「…あ…よ、良かったー…!」
「長く怒ってるのも、案外疲れるものだしね」
「そうなんですか……って、先輩とディーノさんが喧嘩した理由って何なんですか?」
「え…?や、それは秘密…」
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