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深桜はふむふむと手の甲にメモを取った。彼女が快諾すれば 彼は電話の向こうで至極嬉しそうにお礼を言い なんとなく深桜は彼が例の笑顔で笑っているのかな、と考える。ディーノが彼女に伝えた話はこうだった。
今朝ディーノは深桜の弟の元へスクアーロを連れて行った。そして会話が終わると彼を病院へ移動させるために自分の部下を遣わした。しかしそこで少々小腹が空き 拠点となっているホテルでコンピューターを弄りながらクッキーを食べていたところ 故障させてしまった、と。
水をこぼしたなら分からなくもないが ただクッキーを食べていただけなのにどうして故障するのか。そんな疑問が深桜の脳内を過ぎったが ディーノは本当にお困りの様子だったため 彼女は敢えてそっとしておいた。
「それじゃあ武に渡しておいてください」
『あー…いや、一人で持てるサイズじゃねぇんだよなぁ……』
「そんな大きいんですか…!?」
部屋に運んでおくことに話は纏まり 深桜は電話を切る。彼女はあまり大きな機械は弄ったことがなかったので えへへ、と一人ニヤける。気持ちが高揚し 早く帰りたくて堪らなかった。
「嬉しそうですね、先輩」
「えへへ、コンピュータ修理頼まれたんだ。私先に帰って良いかな?」
「良いですよ。鍵の確認は僕しときます」
「わーい!ありがとう!良き後輩よ!」
「全く…調子良いんですから…」
原稿忘れたら怒りますよと釘を刺されつつ放送室を後にする深桜。ルンルン気分で帰宅し ろくにただいまもせず部屋へ駆け上がった。
「うわ…でか!」
彼女が自分の部屋に入ると 壁一面を覆い尽す程のコンピュータが置かれていた。まるで映画で使われているような代物だ。近付いて観察すると そのコンピュータは一つではなく幾つもの器具が組合わさって巨大な姿をしているらしく 液晶が5つ程ついている。
「姉ちゃん帰ってんの?」
「武…これすごい!」
「あはは、だよなー。俺も最初見た時びっくりした」
笑いながら部屋に入ってきた山本へ 深桜は感動の声を上げる。これは腕がなるわー、と腕まくりをし 山本を部屋から追い出すと早速作業を始めた。ディーノと約束した期限は2日。だが彼女は1日で終わらせる予定だった。
「話聞いた限り多分これだろうなぁ…」
慎重に修理をする深桜。本来なら電気屋に出して修理をするのが正当な手段だが いかんせんそれでは1週間2週間と時間が掛かる。しかしディーノにはこのコンピュータでしか行えない作業があり 早急な修理が必要だった。そうして「イタリアに帰るのも時間かかるしな…」と困っていたところ ツナや山本から深桜の話を聞いた、と言う経緯だったらしい。
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