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「んーと…『跳ぶリスト』?いやいや、違うな…じゃあ『馬のリスト』?」
ブツブツと呟き昨日解読した暗号を組み合わせていく深桜。本日の放送は無事終わり 今は放課後――局員会議もとい皆でまったり寛いでいる時間だ。パリパリと彼女の後輩がお菓子を頬張る。
「先輩、また暗号ですか?」
「うん、今回はちょっと難解で…」
「あんまり暗号って解読しないほうが良いんじゃないですか?変なことに巻き込まれたら大変ですよー」
「んー…」
「(こりゃ聞いてないな…)」
さ、こんなの放って置いて会議しよう、とお菓子を頬張っていた後輩の遠条がリーダーシップを取る。放送局は皆で作業する時間が多いせいか 他の委員会より上下関係は緩いのだ。深桜が暗号に夢中になると止まらないのを知っている局員は大人しく従う。
そうして 深桜は暗号、局員は会議をし ゆっくりと時が過ぎていった。リーダーシップをとっていた後輩が局長に声を掛ける。
「先輩ー。もう会議終わりましたけど」
「え、もう?」
「"もう"ってあれから2時間たってます」
「げ…」
夢中になってしまったなどとブツブツ呟き深桜は本日の解散を告げる。後輩が会議の記録を彼女に手渡すと 明日の原稿も深桜が担当になっていた。彼女が何か言いたそうに後輩を見ると「会議に参加しなかった罰です」と告げられ 最早局長としての威厳は皆無だ。
深桜は自業自得、と周りから言われしょぼくれながら原稿を手に取ると 不意に深桜の携帯電話が鳴った。
――ピロロロロ!ピロロロロ!
「先輩、出ないんですか?」
「局長は原稿で手がいっぱいいっぱいなのです」
「原稿で暗号の紙をカモフラージュしてもモロバレですから。早く出てください」
「なんで遠条君ってそう目敏いのかなぁ……はい、深桜です」
恐ろしい眼力をもつ後輩に負け 携帯を取った。液晶には弟の名前が出ていたが 実際に電話から聞こえてきたのは違う人間の声だった。
『あ、深桜先輩…!あ、あの…山本の友達の綱吉です!今山本の携帯借りてて…』
「ツナ君、どうかしたの?」
『あの〜…深桜先輩ってコンピュータ修理出来ましたよね…?直してもらいたいのが一つあるんですけど…た、頼めますか…?』
「うん、全然構わないよ。家庭用の?」
『それがちょっと違っ』
『家庭用じゃなくて企業用なんだ』
「え?」
いきなりツナの声がディーノの声に変わる。深桜は聞いたことのある声だと思い 思わず彼の名前を呼んだ。
「ディーノ…さん?」
『お、名前覚えてくれてたんだな!それでさっきの話なんだが…』
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