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もう駄目かもしれない、そんな思いが私とロマーリオさんの脳裏を過ぎった。だが 私達がやけに騒いでいるのが気になったのだろうか、マーモンがふわりと私の隣りへ降り立てば傍観者を決め込んだ涼しい声で衝撃的な言葉を発したのだった。


「やっとハッキング終わったんだ。でも残念だったね…そこにハッキングしたらウイルスが送り込まれてくる仕組みになってるのさ。猶予はあと10分ってところかな」


そんな対処をしたって無駄さ、と嘲笑を浮かべるマーモン。ロマーリオさんはこめかみに青筋を浮き上がらせ 怒鳴りはしないものの激しい怒りを顕にしていた。


「マーモン…!貴様始めからヒントなど教える気は無かったのか!?」

「ム、随分と失礼な言い種だね…言っただろう、そこの彼女が幾つのヒントに気が付けるかがポイントだって。僕は最初からしっかりウイルスを消すヒントを与えているよ」

「(だから何でそんな責任重大ぃ?!)」


チャンスは一回だから精々頑張って。そんな雰囲気を漂わせて彼はまたトランプに興じる仲間の元へ戻って行った。切羽詰まった時にあの余裕は実に腹が立つ。そうして私達は執行猶予に間に合わせるべく ヒントを探し始めた。やはり目を付けるべきものは ところ狭しと画面を埋め尽くしている『未使用のカード』という言葉だろう。


「未使用って言われても、んなもん分かるか!」

「お、落ち着け。しかし…ふむ、カードっていやぁ日本語でトランプだよな」

「………トランプ?」


食卓テーブルへ八つ当たりをする私を諫めるロマーリオさんはポツリと呟き その言葉に私達は一斉に幹部達へ視線を向けた。 ベルフェゴールがまた8切りをかましたようで スクアーロと彼はちょっとした乱闘騒ぎを起こしている。


「ま、まさか…今までずっとトランプしてたのって…」

「…ああ、あれもヒントだったってことかもしれないぜ」


まじですか。分かりにくい上に随分と迷惑なヒントに溜め息が漏れ出た。しかしあれがヒントと分かったからとて『未使用のカード』がすぐに分かると言う訳ではないのだ。一回しかないチャンスを無駄にしないためにも 私は頭をフル回転させた。


「(今までのゲームで一度も使ってないカードってことだよね…)」


そんなこと聞かれても困るんだけどな。こちらとら暗号に集中して耳から彼らの声を弾き出していたため ヴァリアー達が何の手札を出しているかなんて分かるはずもない。そうこうしている内にも刻々と時は過ぎ 残りはあと7分、5分、3分…




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あきゅろす。
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