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衝撃的な情報を無償で与えてくれたカタリーナに丁重に礼を言うと 曲は丁度終わりに差し掛かったところだった。その時間さえも惜しいとでも言うように カタリーナは話すことを止めない。


「ディーノ様、今やマフィアの世界は情報と言う荒波の中に在ります。誰でも思い通りに情報を手にいれられるこの時代、支配者になり得るのは頭の良い人間だけ。反対に言えば 他の人間はそれと知らずに支配される側へと回ってしまいます。そして私達はその海原に投げ出され、路頭に迷う。けれど…ねぇディーノ様、コンピュータと言う戦艦に乗り込み、それを支配する指揮官〈コマンダー〉になれば、荒海なんて怖くありませんのよ。

だから――どうか、強い心をお持ちになって」


この台詞、ある方の受け売りなのですけど、と茶目っ気たっぷりに彼女が微笑めば それに合わせたかのようなタイミングで終わる演奏。カタリーナはディーノが何か言い返す暇もなく 一礼をしてスルリと抜け出すと ナンバー2の元へと戻ってしまった。

その後ろ姿を目で追えば、ナンバー2と彼の視線が絡まり合う。相手の瞳が「気を付けろ」と自分に警告を投げ掛けているが如く感じ ディーノは硬い表情に 微かな影を落とした。



光の届かない堅牢な花崗岩の洞窟――出口を見つけることも 崩して出ることも不可能な牢獄にディーノは囚われている。どう足掻いても決して届かぬその手を愛しき少女へと伸ばし 掠った指先へ深愛のキスを落とすのだ。


狂い舞う暗号――秘密のプロトコル〈約束事〉は螺旋を描き 一筋の涙は美しき駿馬を哀しみへと誘うのだった。






(あーあ…ディーノさんは今頃思いっ切り楽しんでるのかなぁ)

(深桜嬢…取り敢えず今は暗号に集中したほうが良いぜ)

code.05了.
06へ続く

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この話から少しだけ暗黒期突入。



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