[携帯モード] [URL送信]
ページ:3



「俺に何か用っスか?」

「ああ、スクアーロについてなんだが…明日あいつをイタリアの病院に移す予定なんだ。だがスクアーロがどうしてもお前と話したいって聞かなくてな」

「スクアーロが…」

「そんであんまりうるせーもんだから…」

「もんだから?」

「連れてきちまっ」

「う"お"ぉ"ぉ"い!早くしろぉ跳ね馬ぁ!!」

「「………」」

「な、なになに…!?」


苦笑いするディーノに納得顔の弟。一人蚊帳の外に置かれている深桜は全く状況が分からず 突然鳴り響いた怒声に面食らった。怪獣が来た!と不安そうにおろおろする深桜。


「姉ちゃん、わりぃ。先に学校行っててくんね?」

「でも今怪獣が吠えて…」

「プッ」

「(わ、笑われた…!)」


スクアーロの怒声を怪獣に例える深桜に 思わずディーノが吹き出す。するとそれを弁解するような第二声が割り込んで来た。ロマーリオだ。


「ボス、レディを笑うのはどうかと思うぜ」

「あ…わ、わりぃ」


少し赤くなって罰が悪そうに頭を掻くディーノ。彼の周りにいるのは目付きの悪い大男ばかりだったので多少警戒していた深桜だが 良い人のようだ、と判断し「いえ」と照れたように返事を返した。そのまま鞄を肩に掛け直せば 車の中に顔を突っ込んで誰かと会話する山本を見る。


「スクアーロ、もう大丈夫なのか?」

「はっ!俺がリング戦なんかで死んで堪るかぁ!」

「ははは、だよな。本当スクアーロが生きてて良かったぜ」

「う"ぉ"ぉ"い…相変わらず甘い奴だぜぇ…だが、お前は鍛えれば一流の剣士になれるぞぉ!俺が言うんだから間違いねぇ、精々ボンゴレ10代目のためにその才能を生かせぇ!!」

「!!…ああ。ツナのため、ダチのためなら俺はもっと強くなってやるぜ」

「坊主、その意気だぁ!!」


剣士、ボンゴレ10代目、リング戦。盗み聞きしていた(というかしたくなくても聞こえる)深桜は先程からさっぱり話が分からず首を傾げた。取り敢えず話の流れでいくと 怪獣もといスクアーロと呼ばれている人間は 弟の才能に惚れ込んでいる、と言ったところか。そう無理矢理納得させ 深桜は通学路を歩き始めた。

車を避けて真直ぐな道を進む。途中、やはり彼女は弟が気になり一度だけ振り返った。すると部下と談笑しているディーノと目が合い 彼は深桜へニカッと微笑む。キラキラとディーノの金糸へ光が反射し 深桜は不覚にも一瞬見とれてしまった。なんだかゴールデンレトリバーみたい、と一人ごちり 未だ会話を続ける弟を残して学校へ向かったのだった。




[*前へ][次へ#]

3/6ページ


あきゅろす。
無料HPエムペ!