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呆れた返った返答に ロマーリオは慰めるように彼女の頭を優しく撫でる。自分の父親のように暖かい手の平に安心を覚えつつ 再び溜め息の嵐が彼女を襲った。


「確かに時々ドジするが、ボスは俺達にとっちゃどんなボスよりも頼りになる存在なんだぜ?」

「そこが分かりません。確かに優しいし良い人だけど…敵が来たら私を守るどころか真っ先に死にそうじゃありません?」

「ははは、言い得て妙だな!」


いつか深桜嬢も理解出来る時がくるさ、と励ませば そうかなぁと暗号の紙を取り出す深桜。彼女は馬の絵を描き始め隣りに『跳ね馬』とサインを入れる。すると忠実な部下は少し驚いたように口笛を吹いた。


「へぇ、深桜嬢…ボスの二つ名知ってたのか?」

「ディーノさんの?知りませんけど…何で?」

「だって今描いてる『跳ね馬』は、ボスのことだぜ」

「え…」


マジマジと落書きを眺める深桜。彼女は暗号に出てきた単語の落書きを描いていただけだったのだが 思わぬ事実に目を見張った。これは偶然か はたまた必然か、彼女は黙り込む。

一ヶ月前より少しだけ解読の進んだ暗号。今までに出てきた単語は リスト、跳ねる、馬、奇妙、十字架、レクイエムの6つ。よくよく考えを巡らせて見ればディーノに関連することが書いていないでもない。何故なら跳ね馬はディーノ、そしてリストは恐らく彼女が見てしまったリスト――何やらまた自分はとんでもないものを読み解いている気がして慌ててボールペンを手放した。

押さえられぬ好奇心を煽る悪魔と 二度と危険な世界には足を踏み入れるものかと言う天使が葛藤する。しかし悪いこと程人間に取っては魅力的なもの。結局悪魔が勝利を収めてしまい ロマーリオに内容がバレないように彼女はポケットへそれを突っ込んだ。

不審な行動に片眉を上げるロマーリオ。彼女はその場を繕うように笑い


「でぃ、ディーノさんって跳ね馬って言うんですね!」


と誤魔化した。何故なら暗号の内容がディーノやロマーリオに知れれば「危ないから」と取り上げられてしまうに違いない。だが久し振りに手応えのある暗号に出会った深桜は そんな楽しみを無くすなんて有り得ない!と判断し 隠し通そうと決めたのだった。


「深桜嬢…今何か考えたろ」

「…気のせいです」

「俺の目は誤魔化せないぜ。怒らないから言ってみな?…深桜嬢に何かあったら、俺がボスに怒られちまうんだ」

「…………ディーノさんはヘナチョコだな、と…」






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