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「俺は納得いかーん!」

「そんなこと言われても、部活動紹介は6月にしましたからいくら言われても無理なんです」

「何故だ!我がボクシング部の魅力を伝えるのに、テレビ放送程良い手段はないだろう!」

「笹川先輩、放送局にだって予定ってものがあるんですよ」

「遠条君、笹川君、もうちょっと静かにしてもらいたいなー…なんて…」


遠慮がちに呟かれた台詞へ 遠条がキッと眉尻を上げる。大体何故僕が笹川先輩の相手をしなきゃいけないんですか、とでも言いたげな冷たい瞳で深桜を睨み


「とにかく、部活動紹介はまた来年ってことで我慢してください!以上!」


と、スタジオに逃げ込んでしまった。入口には深桜とロマーリオ、そして不満そうな了平が残されている。深桜は暗号をしまうと困ったようにボクシング人間に話し掛けた。


「ごめんね、笹川君。今クリスマス用の企画番組作ってて、ちょっと皆イライラしてるみたい」

「何?それならばそうと言えば良いものを!」


笹川君が言わせないようにしてたんだと思うんだけど…なんて顔を引きつらせ、彼の要求を受け入れられなかったせめてもの償いに チョコレートを一つあげる。その隣りでロマーリオがお腹を抱えて笑っており「深桜嬢の学校は本当に面白いぜ」と涙を拭いていた。

リング戦を知っている深桜は 複雑な心境で視線を了平へ向ける。見てはいけない暗号を読み解いて以来その話は山本からツナ、ツナからリボーンへと瞬く間に伝わった。守護者達は彼女の立たされた立場に心から同情を示したものの「ディーノさんがいれば大丈夫」と思っていた彼女は苦笑いを返す程度だった。しかしながら深桜はディーノの特性を知らなかったため 次の日護衛として一人学校に付いてきた彼に酷く幻滅をしてしまったのだった。

少し歩けばドブにハマり 深桜を道連れにする。挙げ句の果てには学校で雲雀と喧嘩をし 負けて来るのだからどうしようもない。部下の一人や二人いればそんなこともなかったのだろうが 只でさえ護衛が付いている時点で目立つのだ。なのにそんな何人も引き連れるなんて彼女は真っ平ごめん、ディーノのヘタレ気質がバレて以来ロマーリオが護衛をするのが主流となっていた。

そしてそんな生活が一ヶ月も続いてるものだから ロマーリオもすっかり局員達に馴染んでいる。最早彼はディーノ以上に信頼出来る人間と深桜の心に刻み付けられており ディーノはすっかり立場が無くなってしまっていた。

そのディーノと言えば 何やら用事があるとかで現在イタリアに帰省中。深桜は頼りないボスに思いを馳せ己のしでかしたことを後悔していた。


「私、人生のレールバグった気がする…」

「うむ?バグったとは何だ?」

「深桜嬢用語で『間違った、しくった』って意味らしいぜ。パソコン用語からとったらしい」


ひーひーと尚も爆笑するロマーリオ。了平は納得すると渋々教室へ戻っていき 彼女はその後ろ姿を眺めつつぼんやりと宙を見つめていた。未だかつて頼れるディーノを見たことのない深桜は 彼がイタリアで転んでないかと心配になる。


「ディーノさん、怪我してませんかねー」

「お?深桜嬢…ボスが心配なのか?」

「だってあんなにヘナチョコなんですよ?心配にもなりますって…」






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