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「しししっ!聞いたぜ、あれバラしちゃったんだって?」
「跳ね馬に渡ったって話よねぇ?あーあ、ボスに怒られたって私知らないんだからぁ」
「ム、僕は逆に感謝して欲しいくらいだよ」
複雑に絡まり合う暗号――遥か昔の人間が作ったバベルの塔は、崩れ落ちるその瞬間にさえも絶え間なくサインを送り続ける。
Code Spiral
code.03 バグ
ひんやりとした食堂。ヴァリアー幹部達の会話が幽霊の囁きのように響き、朝だと言うのにカーテンがきっちり閉じられた部屋へ不気味さを添える。食堂の扉には数人の見張りが幹部達へ目を光らせており カードゲームをしていた幹部達はさり気なさを装って会話に意識を集中させた。
「マーモン…それは一体どういうことだ?」
「そうよ、意味分かんないわ!」
良いカードを選んでいたレヴィが マーモンの言葉に手を止めて聞き返すとルッスーリアも便乗する。するとマーモンは何処か自慢気な様子でカードの山へ飛び乗った。
「あのリストが上手く働けば、僕達が自由になれるチャンスが出来るんだよ」
「うわ…さっぱり意味わかんねー」
「う"お"ぉ"い"!もっと分かりやすく言えぇ!」
謎なぞ問答のような会話に短気なスクアーロが声を荒げる。山本と言葉を交わし イタリアに戻ってから約一ヶ月半、リング戦で大怪我をした彼やルッスーリアはすっかり回復をしていた。しかし彼らがリング戦で犯した罪は未だ許されず 監視付きの生活を送る日々。幹部達は「自由」と言う単語に反応し 興味津津にマーモンを見やった。
「ムム…だから馬鹿は嫌なんだ。仕方無いから説明代はツケにしといてあげるよ」
「んまぁ、こんなことでもお金とるのねぇ!もう…ツケでも何でも良いから早く教えてちょうだい!」
「急かすともっと金とるよ。…つまりは リストに載ってる人間と跳ね馬と そのどちらが勝とうとも、僕らの利益になることには変わりはないって話さ」
「てめぇ、さっきの説明と何も変わらねぇじゃねぇかぁ!そんなんで金取られるなんて冗談じゃねぇぞぉ!!」
ガシャンとテーブルのグラスが音を立てて割れる。中身のワインがレヴィに飛び 鈍い頭でマーモンの言葉を考えていた彼はスクアーロへ殺気を飛ばした。途端に喧嘩が始まるが それが日常である彼らは隣りで悠々とカードゲームを続ける。
「王子8切り〜。…で、マーモンはそいつらと跳ね馬、どっち勝つと思ってんの?」
「当然の如く跳ね馬が負けるよ。『あれ』程食えない人間はそうそういないし、ましてや正統派の跳ね馬がそれに勝てるとは思えない」
第一 あの暗号を解けるかどうかも怪しいからね、と他人事のように冷ややかな目線で今の戦況を語っていくマーモン。幹部の中でも最も食えない存在からそう評価された『あれ』に ベルは至極面白いと言った様子で喉を鳴らした。ルッスーリアが8切りなんてずるいわ!と嘆き 自分の新しいターンが来るのを待構えながら不服を述べる。
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